AnnaMaria

 

琥珀色のアルバム  13. 空回り

 

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週末の間、美奈は、月曜日に会社に行った時、
綿貫に会ったら何と言おうか、
そればかり考えて落ち着かなかった。

普通に挨拶すればいいのか、この前泊めてもらった礼を言うべきなのか、
それとも、個人的な礼はメールで言うべきなのか、
こんな事こそ、直接面と向かって言った方がいいのか・・・。

仕事の関係上、綿貫の携帯番号もメルアドも知っていたが、
何と言ってメールすればいいのか、それこそわからない。

何度も同じ事を考えた挙げ句、
結局、良い案もないままに月曜日を迎え、出勤した。





月曜の朝は、現況報告と連絡を兼ねた、定例ミーティング。

当初、新規ラインの企画スタッフで行っていたが、
キャンペーンがどんどん進んで行くにつれ、
「広通」のメンバーや、営業部隊も加わる事も珍しくなくなっている。

美奈は内心ドキドキしながら、ミーティングルームに入ったが、
「広通」からは加澤が顔を出しているだけで、
制作会社のスタッフの顔はあっても、綿貫の姿はない。

美奈はほっとすると同時に、何だか拍子抜けした気分も味わった。



忙しい週初め、各自の報告もごく短く、必要最小限にまとめられ、
次々と発言が進む。

報告が一通り終わり、今後のスケジュールを確認すると、
前田部長が加澤に、


「今日は綿貫さんは?」と尋ねた。

「午前中、うちのディレクターに呼ばれてまして、
 午後にはかつえ社長とアポがあるので、
 こちらに伺うと言っておりました。」


午後、なのか・・・・。


美奈はまた、落ち着かない気分になったが、
そんなことばかり気にしていられる状況ではなく、
今週中に片付ける案件を数えただけで、憂鬱になってくるくらいだった。

ミーティングを終えて仕事を片付け始めると、瞬く間に午後になり、
気がつくと3時を過ぎていた。

すぐそこの席に、さっきまで居た長田の姿がない。

向こうの真也の席を見ると、
午前中からずっと姿が見えないままだった。


みんなでかつえさんのところに集まってるのかしら・・・?


そう思うと、次々にかかってくる電話を受けながらも
部屋のドアが開く度に、つい目をやってしまう。

いつも、ぎちぎちと細かい質問を浴びせてくる美容ライターの電話に神経を使い、
間違った情報を与えないように、資料を見ながら受け答えをし、
やっと電話が終わると、長田がもう席に戻っていた。


「あ、戻って来たの?」


美奈が思わず、尋ねると


「ええ、この前、頼まれていた店舗リストを
 かつえさんにも渡せと言われたので、渡してきました。」


あっさりと答えて、PC画面に顔を戻す。

美奈はつい、綿貫のことを聞きそうになって、
自分も無理矢理、PC画面に体を向けた。


聞いたってしょうがないのに・・・。





翌日も美奈のオフィスに綿貫の姿は見えなかった。

会社の人間ではないから、元々毎日現れるわけではなかったが、
かつえがいる間は、かなり連携を密にしていく筈なので、
社内のどこかにいるのかもしれないが、企画のフロアには姿が見えない。



3日目になり、かつえや倉橋のいるフロアに、資料を持って行った際、
エレベーターに乗り込むところの綿貫と加澤を、やっと見かけた。

顔を見ただけで、弾むように嬉しくて、
すぐにも声をかけそうになったが、
加澤はすぐ美奈に気がついて、
エレベーターの扉が閉まる直前に小さく会釈をしてくれたのに、
綿貫は難しい顔をして、目を合わさないままだった。

身分は来客なのだから、エレベーターを使用するのは当然だが、
ここのビルが古いせいで、エレベーターの稼働が遅く、
かつえや倉橋の所に行った後、
階段を降りて企画の方に顔を出すパターンがこのところ、多かったのに。


おっきな荷物でもあったのかしらね・・・


美奈はまたしても、肩すかしを食ったような気持ちで、
かつえのフロアを後にした。


何だって、わたし、綿貫さんのことをこんなに追っかけてるのかしら・・・

あの人がわたしに安らぎを取り戻してくれたのは確かだけど、
会社で見る、あの厳しい顔を見て和むわけでもないのに。

美奈は自分の行動に、我ながら呆れていた。


でも・・・
顔が見たい。
できれば、あの声が聞きたい。

もっと言えば・・・。


その先の言葉を考えて、美奈は一人で赤くなってしまった。


何てバカなんだろう・・・!


しかし、こうやって、綿貫のことをぐるぐると考えていると、
段々不安になってきて、
あの夜のことをどう考えていいのか、わからなくなって来る。

あの夜のことは、隅から隅まで覚えているわけではない。
ところどころ、もやがかかって、
事実だったのか、自分の夢だったのか、怪しくなっている部分がある。


わたしが、無理矢理にすがって連れて行ってと言ったから、
しょうがなく部屋に連れて行って、なぐさめてくれたのかしら。

それとも・・・・。

ああ、バカバカ!
明日こそ、捕まえて、挨拶くらい交わさないと、
胸の中がもやもやして収まらない・・。





翌日は、親会社の春キャンペーンのプレス発表を兼ねて、
夕方からパーティがあり、
かつえと倉橋、真也、長田、美奈が出席し、
綿貫たちも顔を出すことになっていた。

前田部長と真也が、遠くで会話しているのを、
PCでメールをチェックしながら、耳をそばだてていると
午後一番に、綿貫が別件を詰めるためにやってくるらしい。

この際、思い切って打ち合わせの前につかまえようと、
梱包作業があったのを幸い、昼前から上階の会議室を占拠して作業をし、
昼休みが終わる頃に、会議室前の廊下に出て、
見晴らしのよい窓から、また外を眺めた。




窓から見える木々はまだ裸のままだが、
枝の先にかすかに白い芽や、赤い芽を抱いているようで、
全体の木の色合いが真冬とは違ってきている。

ほのかに白んだような街路樹のシルエットを見つめていると、
上階から降りてくる足音が聞こえ、
無意識に、階段の方に身を乗り出して、
誰が降りてくるのか確かめようとした。

足音の主が誰だかわかった途端、廊下の反対の方へ逃げ出す。

走るわけにはいかないが、覗いていたことを気づかれないように、
このまま、会議室に逃げ込みたい・・・。


「美奈、待てよ!」


美奈は振り向かなかった。
そのまま、会議室の中に走り込む。

たちまち足音が追いついてきて、後ろから腕をつかまれる。
行き止まりの会議室。もう逃げ場所がない。

美奈がやっとの思いで振り返ると、
真也が腕をつかんだまま、息をはずませていた。

真也は振り向いた美奈の体が、かきっと硬直していくのを
手の中の感触で感じると、あわててつかんでいた腕を放した。


「ごめん・・・」


美奈はゆるくかぶりを振ったが、視線は落としたままだ。


「どうしても一度話をしたかった・・・。
 こんなところでつかまえて済まない。
 でも、どうすればいいのかわからなくて・・・。」

「ごめんなさい。
 何度もメールをくれたのに、わたし、返事もできなくて。」


美奈も俯いたまま、何とか言葉を返した。

真也の茶系のスーツのパンツの裾から、
ブラウンの靴が見える。

真也は美奈の前に回って、こちらを見ているらしい。


「美奈・・・。

 許してくれ、と言うつもりはないし、
 言える立場でもないのはわかってる。

 それでも、こんなにも美奈を傷つけてしまったことを、
 どうしてもあやまりたかった。
 
 ごめん!本当に酷い思いををさせてしまった。

 以前の美奈とまるで違う人が会社の席に座っているようで、
 痛々しくて、見ていられなかったが、 
 それも、全部僕のせいだ。」


真也は苦しそうに唇を噛んだが、
うつむいた美奈の顔から視線を外さなかった。

聞いてくれているだけでいい・・・


「あの人の執務室に上着を取りに戻った時、
 さっきまで無かったサンプルが返却されているのを見て、
 美奈があの部屋まで来たことがわかった。
 
 そして、その先まで来たことも・・・

 次の日になってわかった。」


美奈が、思わず体を震わせた。


「何であんなことになってしまったのか、わからない。
 美奈を本当に愛していたのに、どうしてあんな真似ができたのか、
 今でもわからないんだ。
 
 それでも言い訳はできないよね。
 
 美奈がどれくらい傷ついたかと思うと、その方が辛くて眠れなかった。
 僕がものすごく傷つけたくせに、
 自分が美奈のことを慰めてやれないのも辛かった。

 美奈の心から血が流れているのがわかっていたし、
 どこにいても美奈の苦しみを感じた。
 それも全く僕のせいなんだ・・・。

 取り返しはつかない。
 全てはもう遅い、どうしたらいいんだ、と。」


真也は固まったままの美奈の肩を見ながら、
言葉を次いだ。


「そんな風に思って過ごしていたら、
 ぶざまにもあんな醜態をさらすことになってしまった。

 あの人にも綿貫さんにも、会社にも、えらく迷惑をかけた。」


沈黙が二人の間に重くたまり、
美奈はどうしても声を出すことができない。

真也がまた、美奈の方に体を向ける。


「美奈、どうしても直接謝りたかった。
 僕たちの間に育っていたものを、こんな形でぶち壊してしまって、
 本当にごめんよ。

 僕が言えた義理じゃないが、一日も早く笑顔を取り戻して欲しい。

 僕は・・・もっと地獄の底にとどまって、
 罰を受けるべきだね。」


真也の自嘲的な口調に、つい顔を上げて彼を見てしまった。

倒れた時に失った、優しく柔らかな顎の線はまだ戻っていない。
顎の下が、鋭くそげたようになって、
今はぴくぴく動いている。


「あの人が・・・
 好きだったの?」


美奈の口から、問いがこぼれ落ちる。

真也が答えるまでに、しばらく間が空いた。


「そう・・・では、ないと思う。

 僕は美奈が好きだった。
 できればやめて、戻りたかったけど、
 勝手過ぎてそんなこともできなかった。

 だが・・・倉橋さんのせいでもないんだ。
 僕は断れた筈だし、やめることも出来たのに、
 できなかった。

 悪いのは僕だ。できるなら、あの人を恨まないで欲しい。」


恨んでなんかいない・・・。
ただ、顔を見るのが恐ろしく苦痛なだけ。

真也が本当に好きだったから、この一ヶ月半、すごく苦しかった。
ようやく、真也のことを考えずにいられる時間が増えてきたのに・・・。


「ごめん。やっぱりわたし、ちゃんとした話なんかできそうもない。
 でも・・・もう、真也に会えない・・・と、思う。」

「わかった。
 話を聞いてくれてありがとう。」


じゃ、と口の中でもごもごとつぶやくと、
美奈は真也に背を向けて、会議室から出て行った。


これで終わり・・・・
こんな風に終わりが来てしまうものなんだ。

こんなに突然、あっけない形で・・・・


美奈はまた、喉の奥から違和感がせり上がって来るのを覚えたが、
なんとか振り切って、とにかく上のフロアにまでたどり着いた。

ひとりになってみると、自分の惨めさが身にしみる。


あ、今、綿貫さんに会いたくない・・・
こんな顔で、どうしよう。


そう思って下に戻ろうにも、まだ真也がいるかもしれないと、
すぐに会議室に戻る気にもなれない。

困った、と廊下に佇んでいると、ちょうど、かつえが通りがかった。


「あら、美奈ちゃん、いい所に来たわ。
 今日、あっちのパーティでしょ?
 メイクしてあげようと思っていたのよ。
 うちの生え抜きのプレスは、ちょいと違うって見せなきゃ・・」


こっちいらっしゃい、とかつえに導かれて、
美奈は黙ったまま、ついて行った。




かつえの執務室の一部に鏡と椅子が置いてあり、
かつえが自分でどこからか、ケープを持って来た。

秘書のマーシャが、入り口の所の小部屋から様子を覗きに来る。


「うふふ、可愛い美奈ちゃんを連れ込んじゃって。
 かつえさん、すっかりメークアップアーティストの顔ね。」

「そうよ〜!現役バリバリが社長なんだから、
 社員だってたまには恩恵を受けなきゃ。
 それとも、迷惑かな?」


かつえがいたずらそうに鏡の中の美奈に笑いながら、
バッグから出した、メークボックスをどんどん開いていく。


「そんな、迷惑だなんて・・・」


美奈を椅子に座らせてケープをかけ、髪を簡単にクリップで留めると、
しばし、美奈の顔に見入る。


ふ〜〜〜ん・・・


「美奈ちゃん、今恋愛中なの?
 あ、イヤなら、無理に答えなくていいけどね・・・」


コットンに含ませたクレンジングで、
手早く美奈のメイクを拭き取りながら質問してくる。


「恋愛中なんて・・・。
 どっちかというと、振られたばっかりです。」


かつえは、一瞬手を止めて、鏡の中の美奈の顔を覗くと、


「そうかしら?

 悲しみもあるけど、どこかワクワクしているようにも見えるわ。
 失恋したばかりには見えないわよ。
 むしろ、好きな人ができたばっかりみたいかなあ・・・」


ベースクリームを手早く伸ばし、パレットの中でファンデーションを
幾つか混ぜて、色を作っていく。


ほら、目を閉じて・・・


すっすっと顔の上をパフがなでていく。


「これは、美奈たちが頑張ってる、新規ラインの製品だからね。
 うふふ、実は隠されたテーマがあるのよ・・・。」


細かいところを指でそうっと直しながら、どんどん進めていく。


「『官能』が、隠しテーマなの。

『官能』っていうと、すぐエロスを思うけど、
 私の言うのは、もう少し広い意味で、
 心の奥が疼くような、細胞が何かを求めて動き出すような
 気持ちの動きのことね。
 
 だからね、是非、万物の動き出す春に出したかったの。」


魔法のような指先で、チークをぼかしていく。


「肌色も、無理に作りこんだ色じゃなくて、
 女の人がうっとりしているような肌の色、
 少し血の色が上っていて、最高にセクシーな表情の時ってあるじゃない?

 いつもあんな顔じゃ困るけど、振り返ると
 時に見た人をドキッとさせられるような、そんな素肌っぽいきれいさ。
 それを持って欲しいのよ。」


美奈はほとんどされるままに、目を閉じたり、
少し顔を上向きにしたりしている。
 

「メイクする時って色々考えるけど、
 好きな人に見せたい、会いたいって気持ちを持って、
 自分の内側を隠すんじゃなくて、すこうしだけ覗かせるみたいな・・・
 そんな気持ちで使って欲しいわ・・」


マーシャが、またドアから顔を見せて、


「かつえさん、美奈ちゃんはモデルさんじゃないんだから、
 誘導尋問しちゃダメよ。」

「わかってるわよぉ。
 だから、モデルさんにはしない話をしてるんじゃない・・・。

 ね、誰が好きなの?」

え?


美奈はどきりとして、手で顔を隠そうとしてしまった。


「な〜んて、聞かないからさ・・・。安心してよ。」


かつえは、目元をていねいに仕上げながら、カラカラと笑った。


「ここに白のハイライトをほんの少し浮かせると、
 目が透明に潤んで見えるの。

 男の1人や2人、イチコロよ・・・
 ほら、目を閉じて、また開いてみて・・・。」

そう、とてもきれいよ・・・。

かつえがにっこりして、美奈に微笑みかけた。


あとは、リップだけね。

「かつえさ〜ん、お客様よ。」


マーシャがドアのところから、大声で呼んだ。


「あら、ごめんなさい、待っててね。あとほんの一分だから・・・
 良かったら入ってて。」


かつえは、美奈の髪を留めていたクリップをさらりと外す。

美奈は、鏡に映った来客の姿を見て、逃げ出したくなった。
何日来、焦がれていた顔がやっと見られたのに、こんな状態だなんて・・・。


部屋に入って来た、綿貫と加澤の方もこの情景に驚いたらしく、


「少ししてから出直します。」


入って来たドアを戻ろうとしたが、


「大丈夫。もうすぐよ。」


美奈の唇に、桜草の花びらのようなリップをのせ、
グロスをかけると、美奈の顔の回りの髪を両手でやわらかくほぐし、


「ほら、出来上がり」


さっとケープを取って、男性二人の方に美奈の椅子を向け、
立ってみて!と美奈に声をかけた。

立ち上がった美奈を指して、


「どう!いいでしょ?」と、かつえが得意そうに感想を求める。


綿貫は一瞬、はっとしたように美奈を見つめるが、
すぐに目をそらして、かつえに、


「ええ、さすがですね。」

「それだけ?」


かつえの不満そうな調子に、珍しく綿貫が切り返せず、
言うべき言葉を探しているのを見ると、
加澤があわてて、


「いやあ、こういっては何ですが、ものすごく色っぽいです。
 美奈さんのこんな顔、見られると思っていませんでした。
 何だかドキドキしますね・・・」


気軽な調子で言って、美奈に笑顔を向けてくれた。

かつえが面白そうに、また綿貫を見る。
綿貫は相変わらず、黙ったままだ。

美奈は、恥ずかしいような、がっかりしたような、
何だか、さらしものになったような気分だった。


別に何か期待してたわけじゃないわ・・・。


ふっと美奈の顔が横を向いた。


かつえがますます面白そうに口元に笑みを浮かべた。


「あらあら、珍しいわね。綿貫さんが照れなくていいのよ。」

「別に照れていませんよ。」


もう冷静な表情を取り戻して、強めの視線でかつえを見返した。


「もう!そんな怖い顔しなくてもいいのに・・・。」


かつえが、またカラカラと笑った。


「うちの大事なプレス担当を、
 会場まで連れていってもらおうと思ってるんだから。
 私、前田さんと一緒に、
 親会社に一度あいさつしてから行かなきゃならないのよ。
 
 マーシャ、芳賀さんたちはどうしたの?」

「出先から直行するって、さっき伝えていってくれました。
 長田さんがいるから、大丈夫でしょ!」


マーシャが顔だけ出して、答え返してくる。


「わたし、もう少し仕事が残っているので、
 後から一人で行きます。」


美奈がそう言うと、かつえが


「ダメよ。
 最初の受付のところまでは、
 ちゃんとエスコートしてもらって行ってちょうだい。

 親会社ってったって、厳密に言えばコンペティターなんだし、
 絶対に負けたくないわ。
 敵情視察ではないけど、何一つ見逃さないつもりでね。」


あ〜あ、明日は祝日だから、今日あたり、
麻雀でもやって頭をほぐしたい気分なんだけどなあ・・・

かつえのあくび混じりのため息が聞こえる。


加澤が、


「じゃ、美奈さん、30分後に玄関でお待ちしています。
 こちらも今のうち、かつえ社長に
 少々説明しておきたいことがありますから・・・」


わかりましたと、頷き、
相変わらず厳しい顔のまま、目を合わせようとしない綿貫をちらりと目をやって、
美奈は急いで、梱包作業をしていた会議室の撤収に向かった。

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