AnnaMaria

 

琥珀色のアルバム 30-1 撮影の日1

 

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休日のこんな時間だと、さすがの代官山駅もがらんとしている。
もう4月になると言うのに、今朝は少し肌寒い。


『代官山の駅へ、9時に来られますか? Q』


朝起きて外を見ると小雨がぱらついていた。
雨の日って、撮影延期になるのかな、とぼんやり考えながら、
ベッドを出たのを覚えている。

眠い、頭がはっきりしない。
シャワーを浴び、寝癖だけは何とかしてきたけれど、
ちゃんと乾いてないかもしれない。


「『いたずら娘』がテーマではどうですか?」


テーマをくれ、と言ったのは自分だが、いざ考えてみると、
イメージがまるでわかず、結局、昨夜も遅くまであれこれ考えて、
すっかり寝不足になってしまった。

プロのモデルさんだったら、失格なんだろうな。

駅の階段を上りながら、腫れ上がったまぶたのことを考えて、
美奈は憂鬱になった。

もやもやと改札口を通り、ぼうっと行き過ぎようとすると

「美奈さん・・・」

柔らかい声がかかった。

振り向くと、薄暗い駅の構内にQのシルエットが浮かんだ。
近づくとカーキ色のアウターに、オレンジのバッグの線が斜めに走っている。


「おはようございます・・・」

「おはようございます。うん、いいですね。」

え?ああ・・・。


美奈はQの視線に気づいて、自分の格好を眺め直した。

マニッシュなペンシルストライプのショートパンツに白シャツ、サスペンダー。
短めのフェアアイルカーディガンを羽織り、足元はショートブーツ。

「どっちかと言うと『いたずら坊主』ですかね、
 すみません、どうも想像力が貧困で・・」

いえ、よく似合ってますよ。

Qはほほ笑むと、かぶっていたベージュのキャスケットを、
ぱさり、美奈にかぶせた。

「これでどうです?」

駅に置かれている鏡の中の姿は、ますます男の子みたい。
でも、Q さんがいいって言ってるからいいか。

「あ、はい、そうですね。ありがとうございます・・」

美奈は元気に笑ってみせようとしたが、笑顔がゆがんでしまった。
Qの顔が心配そうにくもる。

「朝ご飯食べましたか?」

「いえ、寝過ごしたので・・・。どうぞ気にしないで」

横を向いて、あくびをかみ殺した。

「無理させてしまってすみません。
 まず、どこかで栄養補給しましょう・・・」

そんな・・。

「いえ、外を歩き回るだけが目的じゃありませんから。」

Qが先に立って歩き出す後をよろよろとついて行く。

元気なイメージが欲しいって言われてたのに、全然だわ。




たどり着いたカフェは、まだ開いたばかりらしい。
いつも人通りの多い八幡通りも、時折、犬の散歩をする地元住民が通るだけで、
ガラガラだ。

やや曇り空なのに、テラスには早くも客がいた。
ご夫婦らしい二人はウォーキング中なのか、トレーニングウェア姿だ。
他は、大きなぬいぐるみみたいな犬を連れたファミリーで、
母親にその場で作ってもらったサンドイッチに女の子がかぶりついている。

可愛い子だなあ。

モーニングプレートを頼んで、ぼうっと店内を眺めていると、
早くもQはカメラを取り出している。

レンズのついたおっきな奴。

自分が撮影される対象だということを忘れて、じっと見てしまった。

「やっぱり、それってプロ用ですか?」

「そうですね。
 もっとも今、素人だってこんなカメラ持ってる人は結構いますよ。」


言いながら、さりげなくレンズを向けられると、
つい目をそらしてしまう。

だって、まぶたが腫れてるんだもの・・・。

口をとんがらせていると、シャッター音がしないながら、
撮影しているようだ。


「こんな寝起き顔でごめんなさい」


カメラの後ろから顔を見せたQは、おやおやと言う表情だ。


「そんな顔もすごく可愛いですよ。
 カメラを気にするな、と言っても無理でしょうが、
 これは僕の一部だと思って、美奈さんの好きなように動いて下さい。」

「へえ。
 あの、こういうポーズとかしなくていいんですか?」


雑誌でよくみるモデルのポーズをしてみせると、Qが笑った。


「してくれてもいいけど、しなくてもいい。
 代官山で一日、遊ぶ気分で行きましょう。
 入りたいお店とかあったら、気にせず寄っていいですよ。」

ふうん・・。

熱いカフェオレを飲むと、少しずつ身体が目覚め始める。
トーストは焼きたてで、卵とソーセージ、サラダがついていた。

Qはエスプレッソを飲んでいる。

あ、しまった!

まだ寝ぼけていて、指先の感覚がはっきりしないせいか、
ソーセージを床に落っことしてしまった。
さっと毛むくじゃらなモノが来たかと思うと、
あっと言う間に、床に落ちたソーセージを食べてしまった。

あら・・・。

「あ、フラッシー、ダメ!こっちにおいで。」

フラッシーと呼ばれた犬は、女の子の声にぴくりと耳を動かしたが、
美奈の皿にあるソーセージを見つめて舌を出し、動こうとしない。

「うふふ、おいしかった?
 目が早いねえ・・・」

美奈は椅子をずらすと、犬を足の間にはさんで、
灰色のもしゃもしゃした頭を撫でてやった。
犬は甘えて、くんくん鼻をならし、美奈の手を舐める。

その間も皿のソーセージが気になるらしく、ついつい鼻先が横を向く。

向こうの席から女の子が降りてきた。
小学校の高学年くらいだろうか。

「すみません。この子、ソーセージを見ると我慢できないの。
 ほら、フラッシー、こっちおいで・・」

犬は女の子と美奈とソーセージを代わる代わる見つめている。

「これ、あげてもいいんだけど、わんちゃんに悪いかな?」

「いえ、いいんです。
 大好物なんだけど、家じゃ、あんまりあげないようにしてるの。
 キリがないから。」

そう・・じゃ、わたしならいいかな?

美奈がソーセージをつまんで、犬の鼻より少し高いところにかかげると、
磁石のように美奈の指に吸い付いてくる。

「欲しい?」
クゥン、クゥン。

「じゃあ、あげる。君がすっごく可愛いから・・・。」

ね?と言った瞬間にぱくっと食べられていた。
大あわてで呑み込み、一生懸命噛んでいる。

う〜〜〜ん、かわいい!ぬいぐるみみたい。
いい子ね。

美奈は頭や首を撫でてやったが、犬は食べるのに夢中だ。

「あんまりいい子じゃないの。すんごく食いしん坊なの。」

女の子がもう一度、フラッシー、と呼ぶと、犬は美奈と美奈のお皿を見て、
今度は女の子の後ろをとことこ、と席に戻って行った。

いつの間にか、テーブルから離れていたQが席に戻って来る。


「今の、撮ったんですか?」

「ええ、もちろん。
 美奈さん、残りのトーストを食べるなら、手を拭いた方がいいですよ。」

あの犬のヨダレも舐めることになっちゃいます。

あ、はい。

笑いながら手を拭くと、犬連れファミリーをこっそり伺った。
すらりとした母親はニットキャップをかぶっていて、あまり顔が見えない。
父親のひざには、まだ小さい男の子が座っている。

何だかいいなあ。

美奈はおしゃれなファミリーを見て、思わずほほ笑んだ。
Qがすかさず、またレンズを向ける。





店を出る頃にはもやが晴れ、暖かな春の陽気になった。
旧山手通りの並木は細かな緑の葉をつけて、光にさざめいている。

なんていいお天気・・・。

美奈は思い切り深呼吸をした。
歩道をすれ違うのはジョガー、ウォーキングする人、犬の散歩・・。
ぶらぶらと出歩くカップルは、まだあまりいない。

表通りのほとんどの店が開店前なので、
駐車場や近くの小径も空いている。
美奈がショーウィンドウ越しに商品を物色したり、
きれいなパティオを歩いていくところを、Qが自由に撮っていった。

最初は違和感があった。

自分を狙っているレンズの存在を忘れることができず、
どこか「見られる自分」を意識していた気がする。

Qはほとんど注文をつけなかった。
一緒にショーウィンドウをのぞき込むと

「あのカラフルなの、お菓子かと思ったら化粧品ですね。
 KAtiEもあんなお土産をつけるといいんじゃないかな。」

有名なフランスの料理学校の前では、

「ここで年に一度、お祭りがあるんですが、
 出される料理を目当てに、びっくりするほど人が集まるんですよ。」


話題は常に撮影と関係のないものばかり。
美奈は次第にQに慣れ、Qの手にしているカメラにも慣れてきた。

片手があんな風に変化してる、って思えばいいのよ。

イタリア食材店前のパティオに、可愛らしい赤いトラックが止まっていて、
荷台に積まれていた籠から、カラフルな野菜や果物がこぼれんばかり。
即席の朝市のようだ。

赤ピーマン、紫キャベツ、何種類ものトマト、白と緑のアスパラガス・・。
真っ赤で小粒の苺や、青みがかったレモンもある。

Qが美奈を誘う前に、美奈の方がそばに寄っていた。
フレッシュハーブの種類が多い。

「これは何ですか?」

レースのように細かく、繊細な葉っぱをゆびさすと、

「ディルです。パスタにもデザートにも使いますよ。」

チェックのシャツを着た若い男が教えてくれた。

Qが緑色のライムを二つ、買っている。
美奈が不思議そうに見ると「ちょっとね」と笑い、
「ライムの香りが好きなんです。」

へえ。

美奈は不意に綿貫が作ってくれた、ジンライムを思い出した。

Qさんも、やっぱりお酒に入れるのかしら?

ようやく開いた食材やハムのコーナーにも行ってみる。
おっきなもも肉がぶらんと下がり、スタッフが器械でピンク色の身を、
うすくスライスしていた。

おいしそう!

美奈の目がきらめいたが、今買って帰るわけには行かない。
撮影が終わるのがいつだか知らないけど、きっと午後だろう。





どの位歩き回ったのかわからないが、気がつくと周りの人通りが増え、
表通りの店が開いている。

カフェでおいしそうにビールを飲んでいる人を見ると、
急に喉が渇いて来た。

Qは美奈の視線にすぐ気づき、

「休憩しましょうか?」

「はい!」

12時前だったことが幸いして、街のランドマークのようなオープンカフェに入ることができた。

さらさらと風が流れ、向かい側の緑は目に滴るよう。
カフェに座っているカップルは、みんな気持ち良さそうにくつろいでいる。

「ビールにしますか?」

「え、いいんですか?」

美奈が身を乗り出すと、Qが笑った。

「休日じゃありませんか。好きなものを飲みましょう。
 美奈さんは飲めるほうなんでしたね。」

まあ、そうですけど、撮影中に赤い顔になっても・・・。

「それはそれでいいんです。
 できれば、午後も歩ける程度にしてくれると助かりますが。」

「あ、はい。」


テーブル上の小さなガラス瓶に可愛らしいスミレが生けてある。

「わあ、懐かしい。
 春になると、家のそばの公園でよく見かけました。」

そうですか・・・。

Qはポケットから、ポストカード大のスケッチブックと色鉛筆を取り出すと、
美奈の目の前で、さらさら・・・と描き始めた。
実に早い。あっという間に写し取って行く。

美奈がビールを半分も飲まないうちに、ハガキ大のカードを切り取ると
さっと美奈に差し出した。

「どうぞ。もし気に入ってくれたなら・・・」

え?いいんですか。すっご〜い!

淡い色合いだが、確かに目の前のスミレが写し取られている。

「本物のスミレもあげたいけど、まだ途中だし・・・」

「本物よりうれしいです。
 すんごくかわいいわ。ありがとうございます!」

いえ、無理言って、朝早くから付き合ってもらってるし・・・。

「いえいえ、とても楽しんでます。」

美奈が答えると、Qは満面の笑みを浮かべた。
また、目のそばに柔らかなしわができている。

「あの・・・Qさんって幾つなんですか?」

考えるより先に言葉が出てしまった。

「僕ですか?36です・・・」

ふうん・・・。

美奈の反応にQが少しにらむように、尋ね返した。

「もっと上だと思っていたんでしょう?」

「いえ、正直言うと、幾つか全然わかりませんでした。
 おひげがあると年齢不詳になりますね。
 お洋服はこの辺で買うんですか?」

このあたりは仕事先が多いんです。

Qは緑の葉が揺れる様子を眺めながら、ゆったりと答えた。

「色んな仕事をやっていたと言いましたよね。
 服や雑貨のバイヤーとか、スタイリストの手伝いみたいなこともやりました。
 壁に絵を描いたり、雑誌のカットを描いたり・・・。
 それは、今も時々やってますけど。」

そうなんですか・・・。

KAtiEに勤めたことしかない自分とは比べ物にならないほど、
人生経験が豊かそうだ。

「デザイン学校を出た頃から、このあたりをウロウロしていました。
 まだ駅前にアドレスが建つ前からで、代官山にあんなビルができるなんて、
 今でもどこか違和感があります。」

どうして?

「高層ビルのない街で、大使館と雑貨屋、古着屋、ギャラリー、
 カフェなんかが混在してましたからね。
 数年前まで八百屋もあったのに、もうすっかり見なくなりました。」

ふうん・・・。

「すみません、ジジ臭いことを・・」

「いえいえ・・」

一瞬、目の前のQが若く、ポートフォリオを抱えながら、
この坂を上っている姿を想像した。

「その頃からここはあったんですか?」

「ありましたよ。経営は違ったかもしれませんけどね・・・」

ふうん・・・そうなんだ。


ビールが全身に回ってすごくいい気持ちだ。
晴れている昼間に飲むビールは、格別だと思う。

特にこんなおしゃれなカフェで、陽射しと風を同時に浴びながら、
ちょっと楽しい人と一緒に・・・。

隣の席を見ると、Qも視線を感じたのか美奈を見た。

Qがいったい何を撮りたいのか、いまだによくわからない。
わからないので応えようがなく、結局、勝手に歩いて、勝手に寄り道して、
勝手におしゃべりして・・・。

レンズがなかったら、撮影とはとても思えない。

「美奈さん、先日、途中でイメージチェンジをしてもいいって言いましたよね。」

「ええ、言いました。」

では、ここを出たら一カ所立ち寄ってくれますか?

はい・・・。





Qの向かったエリアは駅の反対側で、小さな古着屋、雑貨屋などが
いくつも軒を並べる、裏代官山エリアだ。

その中のセレクトショップとも古着屋ともつかない店に、
するりと入り込むと、「こんにちは」と声をかけた。

奥から出て来たのは、小麦色の肌をした女性でQより年上に見える。
細身のデニムをぴったり履きこなしていた。

「頼んでおいたものをお願いしたいんだけど・・・」

「はい、ああ、似合いそうね。じゃあ、こちらへどうぞ。」

美奈が通されたのは店の奥の一室で、壁一面にずらりと服が掛かっており、
大きな鏡と椅子があった。

「Qちゃんからは、これを預かっているんだけど。どう?」

手渡された服は、薄いブルーのドレスだった。
とても生地がやわらかくて、ガーゼのよう。

「これは何の生地ですか?」

部屋を出て行こうとしていた女性に訊く。

「シルクコットンをインディゴで染めて洗ってあるの。
 柔らかくて気持ちいいでしょ?軽いはずよ。」

ホントだ、すごく軽い。

「アンダードレスもついている筈だから、着てみて。」

「はあ・・・」

洗いざらしのシャツみたいな感触だ。
とても肌に気持ちいいけれど、こんな感じの服は着たことがない・・。

着てみると実にシンプルなラインだった。
柔らかく身体に添い、軽く絞ったウェストからふわりと裾が広がっている。
白とうすいブルーの素材が重ねてあって、どこか微妙にずれて見えた。

「あのう・・・」

おずおずと美奈が部屋の外へ出て行くと、
先ほどの女性とQがカウンターから振り向いた。

肩や腕がむきだしなのがかなり気になる。
足元もブーツのままだし、もちろんキャスケットは脱いできた。

困った顔で出て行ったのに、二人は美奈のためらいを全く問題にしなかった。

「ほら、白より、水色のがいいでしょ?
 もしかして、もっとはっきりしたヤツが似合うかもよ。」

「いや、これがいい。
 これで合わせてくれよ。」

「ウェスタンブーツと、テンガロンハットなんかどう?」

「服を目立たせたくないんだ。もっと軽く、馴染む感じで。」

う〜〜ん、しょうがないわね。

女性は、店の奥から濃いインディゴのGジャンを持って来ると、
袖を通すように美奈に身振りで伝え、足元には、
くるぶしまでレースアップするサンダルを置いた。

「・・・・」

意見を言う雰囲気ではなかったが、このGジャンも柔らかくて着心地がいい。

「ダメ。もっと軽いのを・・・」

Qが反対を唱えたので驚いた。
その後、女性がいくつか持って来ては試し、最後に衿元にアイレットのある、
薄手のカーディガンをまとうことで意見がまとまった。

「すごくいい・・・」

Qがほほ笑むと、女性は呆れたように

「言い出すときかないんだから、まったく」

Qがこんな風に主張するところを一度も見たことがなかったので、
美奈はびっくりしていた。

女性がQを見ながら、

「わたしがメークしていいのかしら?」

「どうかな。彼女自身、メークがとてもうまいから」

「あ、お願いします!」

この人はプロだ。

美奈はそう感じとると、彼女が自分をどんな風に作るのか、
ぜひ見てみたくなった。

「じゃあ、こっちへ来て」

美奈をさっきとは別の部屋に連れて行くと、鏡とメークボックスがあった。
かつえや藤尾が使っているものと似ている。
美奈を座らせると、さっさと髪にカーラーを巻き始める。





20分くらいだったろうか。
美奈がドレッシングルームから出て行くと、Qがポケットに手を突っ込んで
店の中を見ていた。

美奈の気配を感じると、ぱっと振り向き、感嘆の表情を浮かべた。

「わあ、すごくきれいだ。」

あまりにあからさまな讃辞だったので、美奈は急に恥ずかしくなり、
さっきの部屋に逃げ込んでしまいたくなったが、Qはすぐに傍へ寄って来た。

「とても似合っています。
 自分で鏡を見てみた?」

そう言って美奈の両腕をとり、くるりと後ろを向かせた。

店の鏡に映っていたのは、あまり見慣れない女性だ。
ゆるいウェーブを肩に流し、頬をピンク色に染めている。

シンプルで清楚なドレスのおかげか、どこか無垢な雰囲気が漂っていた。

「うわ、はずかし・・・」

美奈は両手を頬に当てて、しゃがみ込んでしまった。

「あら、本当に似合っているわよ。とても可愛い。」

女性にまで言われて戸惑ったが、すごくうれしくなり、
満面の笑みをうかべてQに振り向いた。

「ありがとうございます。こんなのは初めてで・・・」

美奈は女性とQを交互に見比べた。

Qはにっこりほほ笑むと、

「では、午後の部に、おつきあい願えますか?」

そう言って、美奈の手を引いた。




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