AnnaMaria

 

琥珀色のアルバム番外  ホテル・マリンハウス

 

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「おい、いい加減、覗き回るのを止めとけよ。」

「だって、こんな感じのところって、今だにあるんだね。
 すごく色々あって、いかにもって感じだわ〜」


天井に貼られた鏡や、幾つも並んだ照明、丸いベッド等を見て、
バスルームを覗くと、


「きゃあ〜〜!!」

「何だ?」

「で、でっかいサラダボウルが置いてありますっ!」


言われて綿貫も覗いてみると、
無駄に広いバスルームの端に、
確かに透明なサラダボウルを大きくしたとしか
言い様のないバスタブ(?)が置かれていた。


「こ、これって・・・」

「そうだな。
 サラダボウルというより、用途から言ったら金魚鉢だろう。
 中に入った金魚を、横からも下からもゆっくり眺められ・・・」


きゃ〜、きゃ〜、っきゃ〜〜!!


「そんなに嬉しいのか。
 しかし、二人一緒には難しそうだな・・・
 底が小さめで安定が悪そうだし」

「んんもうううっ、綿貫さん、中年のオヤジみたいなこと言いますね。」


そう言いながらも、美奈も中々サラダボウル(金魚鉢?)から
目を引きはがすことができない。

結局のところ、しげしげと見つめてから、部屋に戻り、
今度はベッドサイドの脇にある引き出しを幾つか開けてみては、
じっと覗き込む。


「うわっ!」


急に叫んで、慌てて閉める。


「今度は、何を見つけたんだ・・・」


綿貫が思わず訊いた。


「ん〜〜と、何に使うかよくわからないものが・・・・。」

「どれ・・・」

「あ、ダメです!」


引き出しに伸ばした綿貫の手を押さえようとすると


「何に使うか、よくわからないんだろ?」

「んん〜〜、そう・・・・だけど、ちょっと・・・」


美奈が赤くなったり青くなったりしながら、口ごもる。


「俺が使い方を見てやる」

「いい!いや!やめて!!」


むきになって、引き出しの前に立ちふさがるので、
綿貫は声の調子を変えて、美奈の顎をつかむ。


「ホントは何に使うか、わかってるんだろう・・・」

「・・・・」

「試してみたことがある・・・とか?」

「ち、ちが・・・!」

「ほんのちょっと、興味がある・・とか?」


今度は本当に赤くなって首をぶんぶん振る美奈を
綿貫はおかしそうに見て、手を放した。


「変な奴だな。
 ここにそういう類いがあったって不思議はないだろう」

「でも、これはダメです。」

「ふうん、じゃ、あっちは・・・?」


綿貫が指さした先に、ビデオカメラらしい機器があった。

もちろん、再生用の大型モニターと
既存のソフトが何本も・・・。


「うっわ〜〜、綿貫さん、あんなの見たいの?」

「あんなのって見たことあるのか?」

「・・・んもう、今日は、徹底的に突っ込みまくってくれるわね。」

「いや、まだこれからだ」


べしっと綿貫の背中を思いきり叩き、
ぷすぷすとふくれながら、また、部屋の中を移動する。

冷蔵庫を開いて、


エ〜〜っ、こんなのと、こんなのが冷蔵庫に一緒に入れてあるわ。
これって冷やす必要があるのかしら・・・?


「冷やしてるんじゃなくて、売ってるんだろう。」

「そうなの。じゃ、どうして冷蔵庫に入ってるのかしら。
 冷たい方がいいのかな。だって、パン・・・」


綿貫がいい加減、うんざりした口調で、


「いいから、先にシャワーを浴びて来いよ。
 海で浴びただけだと、まだ砂が残ってたりするだろう?」

「うん・・・でも、絶対のぞかないで下さいね。」

「ちゃんと物陰から見守っていてやるから、大丈夫だ。」

「だから〜〜っ、見ないでってば!」


見るなって言ったって、わざわざ全部見えるように作ってあるのに、
もったいない・・・

綿貫はブツブツ言いながら、ベッドに寝転ぶと
自分の寝姿が天井に映る。


「・・・・・」


ふと色々と思いついて、起き上がり、
部屋のスイッチをあちこちチェックし始めた。

暗くなったり、部屋が色付きになったり、
うぃぃぃ〜〜ん、とベッドが上下したり・・・ふむ。


気が付くとバスルームへの壁が一部切ってあり、
そこに小さな取っ手がついている。

何げなく開けると・・・・


「お!」*注(その先に何が見えたかは、ご想像にお任せします。)



シャワー音が止み、バスタオルにくるまって
美奈がそうっとやってきた。


「さっぱりした?」


すぐ近くの壁にもたれて立っていた綿貫が声をかけた。

びく、と足を止めると、うんうんと頷き、


「綿貫さんも砂を落としてきて下さい・・・」

「俺の方は覗いてもいいぞ。」

「いいです、つまんないから・・・」


つまんない?見てみないでわかるのかよ、と、
ブツブツ言いながら、綿貫がバスルームに向かう。



綿貫のシャワーの音を聞きながら、美奈はこんなところへ入った事を
少し後悔し始めていた。


まだ帰りたくなかったのは事実だし、
どうせなら、ちょっと面白いところがいい、
と言ったのもわたしなんだけど。


うう、何だかメチャクチャ照れる、
どうしよう!


どんな顔をしたらいいのか、戸惑っているうちに、
気が付くと、もう綿貫がそばに立っていた。

前髪が乱れて、額にかかっている。


「なんて顔してるんだ。」


笑いながら、美奈のバスタオルに手をかけた。
そのまま、タオルを落とそうとする。


「わ、まだ引っ張らないで!」


慌てて逃げ出そうとする美奈を、
バスタオルごと捕まえた。

腕をつかんで、向かい合わせにし、
つかんだままの美奈の手を自分の胸に乗せる。

まだ少し濡れている胸の上に、
おずおずと美奈の冷たい掌が触れた。


美奈がこちらを見あげているのに気付くと、
片手で前髪をかきあげて、美奈を見下ろす。


「あの・・・綿貫さん、すごく陽に・・・焼けましたね。」


見事な小麦色に日焼けしているものの、
全体にほんのりとうす赤い綿貫の胸を掌で辿りながら言うと、
綿貫が笑った。


「美奈は緊張すると、敬語になるな・・・」


面白そうに言って、美奈の顔を覗き込む。

むき出しの肩に浮いた、水着の白い痕。


「お前がどのくらい日焼けしたのか、
 ・・・見たい・・・」


低い声で告げると、
長い指が首から肩についた白い線を辿り
タオルの下へと入り込もうとする。


「あ、日焼けで肌が少しぴりぴりするわ・・・」


美奈が身をよじって抜け出そうとすると、
肩をつかまれ、首の横にキスが落ちて来た。

少しずつ、唇が下へ、下へと降りて来る。

肩の丸く尖ったところにキスをすると、
美奈が軽く身震いをした。



肩をつかんでいた手がゆっくりと顎にかかり、
美奈の顔を上向きにする・・・。

じりじりと近づく唇に、思わず美奈が目を閉じようとすると、


「目を閉じるな・・・・見ていろよ」


呟きと共に熱い唇が重なり、
前髪がまだ額にかかったままの顔が、目の前にぐっと大きくなった。

美奈の唇に集中するにつれ、まぶたがふわふわと上下する。




軽く触れ合うようなキスが何度か続くと、
今度は舌が入ってきて、美奈の奥を執拗に探り出す。

とがった舌の先が、美奈のうわあごを撫で回し、
びりびりと刺激し始めたあたりから、
とても目を開けていられなくなった。

唇を合わせたまま、少しずつ部屋の中を移動し、
気が付くと美奈の膝のうらに、シーツの感触が当たる。

指先が胸元を探って、今度こそ、
バスタオルがはらりと体から落ちて行く感触に、
はっと手で押さえそうになるのを、大きな手が阻止した。

タオルがベッドの足元に溜まり、
何も身にまとわないまま、シーツの上に押し倒される。





小麦色の裸のマーメイド。

海に着いて、美奈が恥ずかしそうに水着になった時から
ずっと欲しかった。

彼女が自分だけのものだと、縛る気持ちはない。
ないが、他の男といる姿を見ると、
時々、どうにも気持ちが泡立って、どうしようもなくなる。

そんな日は腕の中の美奈を何度も確かめることになる。

こんな風に泣かせるのは、俺だけなのだと、
美奈も俺を欲しがっているのだと、確かめたくて、
ついつい責め立ててしまう。

こんな対応は間違っていると、どこかで思いながら。


水着に隠されていた白い胸をかばいながら、
ベッドの中からやや横向きに、美奈がこっちを見上げている。


「きれいに焼けてるよ」


淡い小麦色にそまった背中に手を伸ばし、
うぶ毛が光る背中のくぼみをすこしずつ辿って、
白く誘惑している丸く実ったお尻の方へと手を這わせる。

美奈がたまらず上を向いて、俺を見あげると、
やわらかくたわんだ白い胸を
陽に焼けた手で、ゆっくりとまさぐり、もみ上げ、
先についた小さな実をつかむ。


「あ・・・」

「ここだけ、夏の記録がないな・・・」


やがて、美奈の先がうす赤く尖って、
指でつまむように、撫でるように包むと、
美奈の喉から、音が漏れてくる・・・。


「あ、あ・・・」


俺の手で、美奈の白い胸全体を大きく包み直す。

そのうちに、白い胸がふるっと揺れて、
我慢できずに先端を含む。

舌でころがし、吸い上げ、軽く歯を立てると、
美奈の背中が大きくのけぞって、
何かをつかむように、空中を手が泳ぎ、
それをぎゅっと捕まえる。

ベッドから、白いお尻の部分が浮き上がると、
ひざをつかんで、否応無しに脚を開いた。

腕をかぶせて、脚の動きを封じてしまう。

そして、何かを待っているかのように、小さく震えて、
丸く飛び出している芽を、尖った舌で刺激する。


「きゃあ、そんなのイヤ!イヤ!」


美奈の抗議に耳を貸す気は、さらさら無かった。

だってこんなにふくらんで、震えているではないか・・・。

イヤだなんて、嘘だ。





今日の美奈は魚だ。

シーツの中を何度も跳ねては、
体に刻まれた白い部分を時折光らせ、
浮き上がっては、あごを反らし「は!」と息をしては、
また、ぽちゃんと海の中に沈んでしまう・・・

きれいに焼けた小麦色の肌が
少し熱を持って掌に熱く、なめらかに弾力を返し、
俺の体の下で、しなやかに身をよじる。

美奈の白くて柔らかいふくらみ、
陽に当たらないままの内もも、きれいにふたつに分れたお尻・・・。

それらが小麦色の体の中で白く浮き上がり、
シーツの中で光って柔らかくくねるのが、
どんなにそそる姿態なのか、当の美奈にはわからないようだ。


こんがり色づいた脚は、まるでヒレのように、
空中をぱたり、ぱたりと動く。

片方を肩にかつがれたり、背中に巻き付いたり、
きゅっと締まって、シーツの中で足の指を丸めたり・・・。
じっとしていることがない。

脚ごと、上から畳んでしまって、ぎゅうぎゅうと真上から責め立てると、
美奈の顔が真っ赤になって、空気を求め、
シーツの上でぱくぱくと口を開け、


「あ、ああん・・・・」


耐えきれない声を漏らす。

その声を聞くだけで最後の理性のたがが飛んで、
もっともっとと責め立てたくなるのに。

美奈はわかっているのか?


こんなに、しなやかな生き物を、1秒だって放しておけるわけがない。

美奈の体が腕の中で、大きくうねり、
開放を求めて身をよじるのを、しっかりと捕まえ、
裏返しにしたり、持ち上げたり、
体をずらしてみたり、時に小さな芽を刺激したりしながら、
思う存分、泣かせてみる。


「あ、ああぁぁっっ!」


美奈の声が高く、悲鳴のようになっても、まだ、絶対に放さない。


「ん、ううん・・」


今日1日、すぐ隣の砂浜に寝そべっていた、
無邪気なマーメイドをやっと手に入れたのだから。

ぴったりと腕の中に引き付け、
あらゆる角度から攻め込むと、
しなやかな下半身の内側がびくんびくんと大きく痙攣する。

熱い感触の中、気が遠くなりそうになりながら、ぐっとこらえる。



「俺に座ってみろよ・・・」


俺が欲しいなら・・・。

半ばとろんとした美奈は、素直に言うことを聞く。

聞くのだが、実際に座り始めると、
半分まで座り切らないうちに腰を浮かして逃げようとする。

だから、細くくびれた腰をぐっと掌でつかんで、下へと誘導する。


「逃げるなよ」

「きゃあぁん・・・」


やっと2人で座ったまま重なると、下から思いきり揺らしてやる。


「あ、待って、待って、待って・・・」


がくがくとあごを鳴らしながら、
美奈が両手をシーツについて、立ち上がろうとする。

そんな事はさせない・・・・。


そのまま、前に押し倒すと
少し態勢を変えて、手をつかせ、
めいっぱい突いてやる。

美奈の目尻から、ひと粒、涙がつうっとこぼれるのが見えた。
慌てて抱き起こして、腕の中に包み、頬を撫でる。


「どうした、つらいのか?」

「そうじゃないけど、あんまりすごくて・・・。
 お願い、少し手加減して・・・。」


体をひねって顔だけこちらに向けた目が、
確かにうるんでいる。


手加減?
本当にそんなものを望んでいるのか。


腕の中の美奈にひとつキスをして、抱きしめてから、
またうつ伏せにベッドに寝かせる。

ベッドに置いた美奈の手の上から掌を重ね、
全身を背中から包むようにして、後ろからずうんと挿し入れる。


「あああ・・・あ・・そんな、
 頭がおかしくなりそう。」

「なったっていい。」


容赦なく、衝撃を加えながら、
胸の中の美奈のおののきを十分、堪能した。

美奈の悲鳴が高くなる。


「ああ、やめて・・・もう、もう、ダメ!」


もちろん、止めるつもりはない。
・・・・・




掴まえた魚は、ぐったりと沈んだままだ。

俺のそばで、しなやかな肢体を見せてはいるものの、
もうそれ程、はねる元気がないようだ。

乱れた髪の下から、赤くうるんだ瞳がこちらを見る。
額に貼り付いた髪をゆっくりと、どけてやる。


「大丈夫か?」

「大丈夫じゃないわ・・・。もう、こんなんじゃ、死んじゃう。
 何でこんなに苛めるの。」

「今日の美奈にはすごくそそられる。
 苛めたんじゃなくて、可愛がったつもりなんだけど・・・

 嫌だった?」


急に自信がなくなって、美奈の顔を見る。

嫌がられては意味がないのに・・・。


美奈の目がまた一瞬大きくなり、
ほんの少し微笑むと、こっちへ手を伸ばした。

ゆっくりと抱きしめる。
躯がまだ熱い。

耳元で声がする。


「嫌じゃないよ。
 ホントはとても素敵だったんだけど、
 でも、ちょっときつかったかな・・・。」


お返し、という声が聞こえて、かぷっと耳をかじられる。

痛てっ・・・。


「これくらいでおあいこよ。」
 

美奈がうれしそうに笑い、俺の耳を撫でる。

それから気怠そうに、部屋の中のスイッチ等を見回して言った。


「こんなに色々あっても、特に使うことって無いね。」

「俺は別にこんなおもちゃは要らない。
 美奈だけがいればいい。」


はあ・・・

美奈がため息をついた。


「その科白、うれしいけど、
 わたしの体だけあれば、という風にも聞こえるわ・・・」

「誤解だ。
 丸ごとあった方が面白い」


ぐったりしている美奈を引き寄せて、背中から抱きしめた。

なめらかで熱い肌の感触は、
またどこか体の内側をざわざわと刺激してくる。


「部屋の照明、変えたの?」

「別に変えてない。美奈の目のせいだよ。
 もう一度、シャワーを浴びる?」

「う〜ん、どうしようかな・・・。」


また、少しずつ、美奈のお尻のあたりをいたずらしてみる。
むずむずと俺の皮膚の内側が泡立ってくる。


「きゃん、もうダメ!やっぱりシャワーを浴びてくる」

「辛いなら、洗ってやろうか・・・?」


美奈がびっくりして大きく目を見張った。


「どうしたの、そんなこと一度も言ったことがないのに。
 何で・・・?」

「美奈がそんなに辛いなら、と思っただけだ。
 それと、う〜〜ん、金魚すくいがしてみたくなった。」


金魚すくい?


美奈の顔に一瞬大きく疑問符が浮かんだが、
次の瞬間、腕を思いきり叩かれる。


「きゃ〜〜、金魚なんて、ダメ!
 こんな処ですくわなくてもいいの!」

「じゃ、金魚鉢に入るところを見に行く。」

「だめだめだめだめ・・・・!」


まったくもう・・・

怒った勢いで、美奈がベッドを何とか飛び出すと、
バスタオルを拾ってまきつけ、バスルームの方へ歩いていく。


ま、いいか。
金魚鉢だけ、あとでちょっと
鑑賞させてもらうことにしよう・・・

美奈には内緒だ。

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