ボニボニ

 

My hotelier 24 - 結婚したい理由 -

 





「ジニョン。今日こそは僕、早く帰れる・・。だから、来ないかな?」

いつもの様に 愛しい半身をヴィラに引き込もうとして、
その日ドンヒョクは、あっさり振られてしまった。

「ごめんなさいね。ドンヒョクssi。今日は 行けないの。」

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―よくよく考えると 立場が悪い。

シン・ドンヒョクは腕組みをして考えていた。
僕の苦労は、・・・いったい 何だ?

「・・・・・・・・・・・・・」

やがてハンターは、閉じていた眼をゆっくり開けた。

「結婚すれば、・・・いい話だな。」


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「・・・何と言ったの? 結婚式?」


「もう そろそろ考えようか? 僕の仕事も落ち着いてきたし、
ジニョンだって僕と『婚前交渉』をするのは、人聞きが悪くて、嫌なんだろう?」
「・・・またそんな。」

ドンヒョクはいつもさらりと、ジニョンがうろたえるような言葉を使う。
ジニョンが赤くなって文句をいうと、

「僕は、アメリカ市民だ。いささかの韓国語の不適切は、容認してもらおう。」

―なによ。わかって言っているくせに。


もちろんジニョンも、ドンヒョクと結婚したい。でも・・・。
結婚にまつわる膨大な煩雑さが、彼女を尻込みさせていた。


ソウルホテルのお客様への対応に関して、完璧なホスピタリティを厭わないソ支配人は、
こと、自分の事となると腰が重い。

“仕事以外で得意なことは?・・・”

ソ・ジニョンの能力は、仕事以外では、実にお粗末だった。


おまけに結婚となると ハードワーカーが2人。
猛烈な仕事をやりくりしつつ 事を進めなければならない。
山積する現実的問題を考えると、・・・・ジニョンは涙が出そうだった。


黙り込んだジニョンを、
やっぱり と 満足そうに眺めていたハンターは
これ以上ないほどの、甘い声で囁く。

「君が忙しいというのなら、誰か、任せられるセクレタリーを用意しようか?」
「そんな・・・」

「ホテル専門のM&Aハンターとソウルホテルの支配人の結婚式なんだ。
きっと皆が注目してくれるよ。」
「・・・・」
「お父様お母様が喜ぶ、とても素敵な式にしよう。」
「・・・・」

蒼ざめているジニョンを横目に、ソファでゆったり ドンヒョクが寛ぐ。


「ドンヒョクssi ・・・・?」
「うん。」

「もう少し、甘い婚約時代を楽しむというのは、どうかしら・・・?」
「嫌だ。」

ぴしり、  と ドンヒョクがはねつける。

「結婚すれば、毎回毎回毎回苦労して誘わなくても。君はいつでもそばにいる。
嫁入り前と言われては・・・、僕もなかなか手が出せないからな。」

「・・・・・・ドンヒョクssi・・・。」
「・・だから、早く 結婚しよう。
君が僕の元に来ない日が、もうないように。
僕が君を求めても、 叱られたりは しないように。」

ひた とジニョンを見据えたドンヒョクに 悪魔の角がはえていた。 


―やられたわ・・。まったく、この人の性格は。

「・・・昨日、誘いを断ったから、そんなことを言い出したのね?!」
「いいがかりは、よしてくれ。」


“クス・・”
―可愛いな。 ・・ふくれっ面になってきた。


ドンヒョクの口元に笑みが浮かぶ。 
 

―愛しているよ。 結婚なんか、君がしたいときにすればいい。
君さえ 僕のものにできるなら、僕はいつまででも 待っていられる。

だからジニョン。僕を 断るな。
君が思うより、ぎりぎりのところで 僕は・・・、君を求めているんだよ


―ジニョンを怒らせてしまっては 台無しだ・・、
 今夜こそは 絶対 ヴィラに閉じ込めてやる。

経験を積んだハンターは、愛しい獲物を捕えるために
用心しながら じりじりと 進んでいった。

「ジニョン・・・?」
「・・・・ええ」
「もうちょっと 甘い婚約時代を 楽しみたい?」
「・・・・・・・・・・できれば、・・・もう少し・・・・」


 チェックメイト 
―きっと 今夜は 君を抱いて眠れる。


「それではジニョン。 今夜は僕と 『婚前交渉』など いかがですか?」

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