ボニボニ

 

My hotelier 26 - クール・ダウン? -

 





唇を 開放したとたん  ジニョンが また文句を言い出した。

まったく君は・・と ドンヒョクが 頭をふる。


「仕事関係の秘密事項もあるから ガラスウォールを変えたんだ。 君の為だけじゃない。」
「為だけじゃって・・・ やっぱり それもあるじゃない!」

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ドンヒョクのデスクにちょこんと乗せられて ジニョンがふくれている。

シッ だまってジニョン! ドンヒョクが 指を立てる。
「久しぶりに会えたんだから  怒るのはやめて 愛し合おう。」


ハンターは 獲物へにじりより デスクにのった膝を大切そうになでる。
すうっと 大きな手が 太腿をすべりあがり スカートに手をさし入れて笑った。

「偉いぞ ジニョン。 このストッキングなら そのままできる。」
・・・・なんてこと! 
ジニョンの耳が赤くなる。 鼓動が うなじを駆け上がる。


「ドンヒョクssi? ここはあなたの神聖なオフィスでしょ。」
うろたえる ジニョンの言葉に  ドンヒョクが真顔で答えた。


「神聖なオフィス? ジニョン。 
       ・・・・・僕にとって いちばん神聖なものは 君だよ。」


―それは 本当なんだ  My hotelier。

どんな信仰よりも  君の存在が  僕を救ってくれる。
「聖パトリックスだって 君ほどの安らぎを 僕に くれはしなかった。」
「ドンヒョクssi・・・」


そして ドンヒョクが 恋人を抱き寄せる。

「誰も来ないよ。 だから・・・ここで ジニョンを抱きたいな。
そうすれば どんなに忙しい時でも 僕は君の温もりを オフィスに感じていられる。 」

「・・・・・・・ そんなこと・・・・・」


語尾がなんだか 揺れてしまって。 それを聞いたドンヒョクの顔は もう嬉しそうになっている。


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もじもじと あきらめ気味のジニョンが 恋人に聞く。
「だって・・・ ここでっ・・・て どう やるの?」


「プリーズ ジニョン! ・・・それは レディの使う言葉じゃない。」

じっとして おいで。
ドンヒョクが 恋人の下着に手をかける。
「 ・・・・・僕につかまって。」

ほんの少し 身体を浮かす。 足先へ 小さな布が滑り落ちた。
「・・・・・・・ドンヒョク・・ssi・」
 
―こんな こと  ・・・・やっぱり。
「大丈夫だよ。」


ジニョンの気持ちが聞こえたように 甘やかな恋人が 端正に微笑む。
彼の考えていることが 信じられないほど 整った顔。


どき  どき・・・・

ジニョンの心臓が ドンヒョクに聞こえそうだ。
「ドンヒョクssi・・・・」
「うん。」
「・・なんだか 私 胸が苦しい。」


ふっと 笑った恋人が まぶたへ 柔らかく口づける。
「愛しているよ。」

ジニョンは おずおずとした上目づかいで 恋人の首に腕をまわす。
ドンヒョクは さも愛しげに ゆっくりした仕草で 髪を撫でる。


スカートがたくしあげられて きれいな脚があらわに見えた。
「素敵だな・・・・。」 
ドンヒョクが ため息をついて 抱きしめる。
うつむいて  ジニョンは頬を染めている。

「ジニョン?」
「ん・・・」

キスされながら ドンヒョクの手がすべりこんできて ジニョンが びくりと身をすくめる。
ジニョンに触れた恋人が ・・・・・・嬉しそうに 微笑んだ。

ドンヒョクの笑顔の その理由を  触れられる前から自覚していたジニョンは
恥ずかしさに もういたたまれない。


「・・・・・僕を 待ってた?」

「・・・お願い・・・答えさせないで。」

ジニョンの 目尻に涙が浮かぶ。 心臓がボールのように跳ねている。
「おいで。」
背すじをきれいに伸ばしたままで  ドンヒョクが 恋人を引き寄せた。

「・・・あ」
ドンヒョクの身体が ジニョンの膝を割った。


力強い手が 細い腰を引き寄せて  ジニョンは少し 気が遠くなる。  
大きな腕で抱えられて  そして 温かな半身が自分の場所におさまった。
「・・・・・・あぁ・・・・」




彼のシルバーグレーのネクタイから  少し 煙草の匂いがした。

お昼どきのオフィス。 エアーコンディショナーが 時折ぶぅんと鳴る。 

階下を走る車の音が 思い出したように 響いてくる。


しっかり身体をつけたまま ドンヒョクは ジニョンの顔を 見つめている。
来るわけでなく 戻るわけでなく ただ 抱きしめたままでいる。

「・・・・ ドンヒョクssi・・・?」
「うん。」

そう言った時 ドアの向こうに ざわめきが戻った。


「!!」
「・・・・・・・・」
二人が 顔を見合わせる。 ジニョンが 眼を閉じて 天を仰ぐ。

「ジニョン、・・・ごめん。 また君に 伝説ができてしまうな・・・・」

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苦笑まじりの ドンヒョクが ジニョンを抱いたまま 受話器を取った。
「イエス ボス?」
「レオ・・・・、 すまない。 ブレイクを ・・・・・・もう ワンタームだ。」
「!!」

潮が引くように  壁の向こうが 静かになった。

「もう・・・ 嫌。」
恥ずかしさのあまり ジニョンがすねる。
それ以上を 言わせないために 慌ててハンターが 唇をふさぐ。


―サンキューレオ。 お前の声を聞いたお陰で クールダウンできた。 
 “これで どうやら動けるな・・・”


ドンヒョクが 腕に力を込めて 恋人を揺らしはじめる。
「・・・・愛してるよ。」
デスクから下がるジニョンの脚は 恋人に揺すられて 振り子のようだ。 
「・・・・・・・あ・・あ・・・・・・」

本当に・・ 僕は 高校生のガキみたいだ。
― あんまりジニョンが可愛くて そのまま いっちまいそうだった。


ソウルのオフィス  午後1時。

ハンターは デスク上の美しい仕事を 幸せそうに片付けている。

「あぁ・・・・いいなジニョン。 ・・・ゆっくり しよう。」
「・・・ん・・・・・・、 だめよ・・・皆・・がくる・・・・・」


「大丈夫・・・ また来たら 次は ・・・・有休をやるよ。」

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