ボニボニ

 

My hotelier 28 - さびしがりや - ドンヒョクの休日①

 





「ボスがいると、皆の 気が抜けないんだよ。
大きいヤマをやっつけたんだから 3.4日休んでくれ。」

「ごめんなさい。ドンヒョクssi・・・・。今お客様の多い時期で・・・休めないわ。」


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―何だか 皆に 見捨てられたな・・・。

シン・ドンヒョクは つまらなそうに 眉をあげる。
まあいい。別に 一人で何をする気もないし 「ソウルホテルで遊んでいよう。」

そして ホテリアー達の災難は 始まった。

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「・・・・・・お邪魔でしたら、また後にしますけど、・・・理事。」
「かまいませんよ どうぞ 続けて。」

かまいませんよと言われても・・・ハウスキーパー達はもじもじとする。
「手早いものだな。一部屋どれくらいで片付けますか ?」
「え・・・・あの・・・」

サファイアヴィラの午前10時 
ドンヒョクはハウスキーパーの仕事振りを それは熱心に眺めていた。

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「ここの隣に 新しいレストランが出来たよ。ファイルしなくちゃ。あの店、何ていったかな?」
「あの・・・」
「今日は お客さんが少ないな。
貴女が忙しかったら ヘルプしようと思ったのに・・・残念だ。」

11時のロビーで コンシェルジェが当惑する。

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「理事、理事。私がしますから・・・」
「君のタイピングより 僕が早い。」

12時のビジネスルームで セクレタリーが悲鳴を上げた。

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「もう、どうにかしてくださいよ!」
ソ支配人は引きつった顔で 方々から上がってくる声を聞いていた。

暇をもてあました ドンヒョクが 
今日はソウルホテルで遊ぶことにしたらしい。


鼻歌まじりに歩き回り スタッフの仕事を興味深そうに 観察している。
裏方に慣れきったホテリアー達には ドンヒョクの視線が 気詰まりだった。


「ガーデナーのおじさんなんか 理事が植え替えを手伝うって言い出して大慌てよ。」

「ま、邪魔している・・・わけでは ないんだけど・・・。」

「ああして 寄って来られても・・・・ ねえ どぎまぎするわよ。」


―皆も 彼に振り回される私の気持ちが 少しは 分かったでしょ?

「とはいえ もう限界ね。 鈴つけてくるわ。」
ジニョンはデスクから 立ち上がった。


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しかし ドンヒョクが 捕まらない。

厨房を覗くと 料理長が むくれていた。
「俺だって白トリュフを使いたかったんだよ。でも、原価ってものがあるだろう?」
「・・・な、何の話ですか?」
「お前の亭主の うるさい野郎だよ!! ・・・俺だって分かってるのに。」

まだ 亭主じゃないわよと ジニョンが逃げ出す。


ダイアモンドヴィラを覗くと 修繕部のリペアラーが思い出し笑いをしていた。
「ドンヒョクssi、見なかった?」
「修繕ゴテで やけどして 医務室へ行きましたよ。」

あぁ もう! 一体何をしているの?! ドンヒョクssi。
私 ホテル中を 追いかけているじゃない!

探し疲れた ソ支配人は あきらめてフロントに入る。

―もう 困った人ね。 ・・・後で 言わなくちゃ。


「いらっしゃいませ。お客様。当ホテルに 何日のご滞在ですか?」
にっこり笑って ジニョンが お客様をさばいてゆく。
ソウルホテルへ 今日もたくさんの人が やってくる。

パサリ ・・・

新聞をめくる小さな音。

フロントが見えるロビーのソファに そ知らぬ顔のドンヒョクが座っていた。
“オモ・・・・・“

指にはちいさな絆創膏。
―もう遊ぶのに 疲れたのかしら。


「はいフロントです。かしこまりました。ええ すぐ参ります。」
ドンヒョクが 少しだけ 視線を寄こす。

「・・じゃあ、お願い。」
ルームナンバーを伝えて ヒョンチョルを送り出すと ドンヒョクは 安心したようにむこうを向いた。



ソウルホテルのロビーに ドンヒョクが 座る。


人の行きかうざわめきの中  ホテリアー達のさんざめく声を 音楽の様に聞いている。
愛するジニョンと 愛するホテリアー達の 温もりのそばで 
子どもの様に  座っている。   

ベルパースンも ギャルソンも ロビーにいるスタッフは 皆 
口元に なんとはなしの笑みを浮かべて
ドンヒョクを横目に 見守りながら それぞれの 仕事に励んでいる。

“うちのホテルの王子様。 どうやら 今日はさびしいらしい。”



ホテリアー達の 愛情を一身にまとって ドンヒョクは 安らかにさびしがっていた。

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