ボニボニ

 

My hotelier 31 - スタンプ - 

 





サファイア・ヴィラへ続く坂道を きりりと制服を着た ジニョンが歩く。

片手に持ったペンライトは ちょっと灯りをしぼっている。


―ドンヒョクssi。 ・・・もう 寝ているかしら?
夜勤の途中の休憩時間。ソウルホテルは寝静まっていた。

ふと物音に 振り返る。 誰かが 後ろからやってきた。
背の高い影がふらふらと歩いて・・ バランスを失くして ヨロリと揺れる。

「ドンヒョク・・・・ssi?」
  
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「そんなに 酔って ・・・・どうしたの?」
「・・・地獄で 鬼に 会ったんだ。」
「え?」
「接待で行った 料亭で ・・・・ばったり キム・ボンマンに  あったんだ。」


“やあやあ フランク! 奇遇だな!
君みたいな堅物でも  こんなところに来るんだなあ。 ワハハハ・・・
よし!呑み直しだ! おいママ いい女 全部連れて来い!
フランク フランク 逃がさないぞ!
ほら お前たち! つかまえろ。”


「ま、お楽しみだったのね?」

わざとふくれて ジニョンがからかう。
「・・・そんなんじゃない!  あ・・いや・・・。ジニョン。
僕は 君を 裏切るようなことは していない。 信じてくれないか・・?」

ドンヒョクの顔がゆがんでいる。 ジニョンが ぷっと吹きだした。

―ドンヒョクssi。苦手だものね そういうの。

ソ支配人は 陽気に恋人の腕をとる。
帰り道はわかりますか お客様? ご案内いたしましょう。


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どさりと ドンヒョクがベッドに座る。
ミネラルウォーターを受け取って 一瓶一気に飲み干した。

「上着を・・・」
ドンヒョクの上着を 脱がせようとしたジニョンの 手が 止まった。
「・・・・・ジニョン?」

シャツに散った たくさんのルージュ・・・ ジニョンの瞳が ぼんやりとした。
「これは・・・・ 店の その 女の人たちが みんなでふざけて・・」

さすがのジニョンも機嫌が悪い。 半眼でぷうと ふくれている。

「君を裏切るようなことはしていない ・・・って 言ったわね? じゃあ
 胸中にべたべた キスされても あなたは私を 裏切ってはいないのね?」
「・・・・・・・・」 
ドンヒョクが がっくりと服を脱いでいる。 上着を投げ 引きちぎるようにシャツを脱ぐ。
外しきれないボタンが一つ ぴん!と飛び散った。


ジニョンは まだまだ 言い足りない。
「私が べたべたキスされたとしても あなたを裏切ることに ならないのよね?」 

「!! そんな事 誰かにキスされたのか!」
「例えば の話! それでも不可抗力なら。 あなたをちゃんと愛しているなら
 裏切ることには ・・・ならないのよね?!そうでしょ?」

手のつけられない恋人に ハンターはため息をつく。 

「・・・・・でも・・・ジニョン・・・誰かにキスされるなんて事は 無いように していただけたら。」
ドンヒョクが 途方にくれた顔を これ以上うつむけないほど 伏せた。


“地面の下まで めり込んだわね・・・。”

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幸いなことに。
気のいいジニョンは いつまでも機嫌を損ねていることが できない。
黙り込んだドンヒョクが そろそろ ちょっと 気になってくる。

「・・・・反省してる?」
「悪かったよ。・・・どうか 許してください。」

真正面から降伏されて ジニョンが嬉しそうになる。
顔色を窺いつつのドンヒョクが ほっと ジニョンを胸に引き寄せた。

うっとり・・・・。
ジニョンが 一度閉じた眼を むっつりと また開けた。
「ドンヒョクssi!・・・いっぱい香水の匂いがする。・・・いったい 相手は何人よ?」
「・・・・ジ・・・ジニョン。」

―・・・こりゃ とてもじゃないが 本当の事は 言えないな。 7人・・・? 
  いや 8,9人はいたのかな。  1人2人なら 僕だって 振り切る事ができたんだよ。



「・・・もう! まったく 冗談じゃないわ! 人のオトコに。 チッ!」

「・・・・お、オトコって、ジニョン。」
「じっとして!」

―しょうがない! 大サービスよ ハンターさん。
 そのかわり 次は 絶対 許さない。

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「ボス? なんだいニヤニヤと 気持ち悪いな。」
「ん? 新しいシャツを買ったんだ。 いいだろう?」

いつもと変らねえじゃないか、ジニョンさんにでも貰ったか? 忠実な部下は返事もしない。

―レオ。 本当にいいのは シャツの中なんだ。
ジニョンがやきもち焼いて 山ほどキスマークを つけたんだぜ。


鼻歌まじりのハンターは 上機嫌で仕事を始める。 

「あたしのものよ」って ジニョンが言った。  

ああそうさ もちろん 僕は  君のものだ。

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