ボニボニ

 

My hotelier 42 - ジニョンssi モンジョ - 

 




「・・・・・?」

― 今日のジニョンは、どうしたのだろう?


ソファで読み物をするドンヒョクの隣に すり寄るように ジニョンが座る。
肩先に ことりと頭を持たせかけてくる。 

本を読みながら 片手で肩を抱くと 素直に身体を預けてきた。
こめかみに 軽いキスをする。 それだけで なんだか 眼を閉じている。

「・・・? 今日はずいぶん 思いどおりに させてくれるんだな。」 


― 何か ねだりたいものでも あるのだろうか?

読みかけの本の陰から 用心深く恋人をうかがいつつ
ハンターのレーダーは ジニョンに ぴたりと 照準を合わせている。


「・・・僕に 話したいことが ある?」
どうして? 何もないわ といいながら  彼女はなんだか落ち着きがない。
「・・ふぅん?・・・・」

― 機嫌はいいし 打ち明け話も ないみたいだし・・・

何かなと考えつつ 本に戻ってページをめくると ジニョンの頬がちょっとふくれた。

― 相手をしないと 機嫌が悪くなる・・。  



いきなり 一つの考えが ハンターの脳裏 を打った。

― ジニョン? 

ぞくぞくする嬉しさに ドンヒョクは 微笑する。 
あまりに簡単なことなので つい うっかりしていた。

― いや待て。  ちょっと 確かめてみよう。 
本を置き ドンヒョクが わくわくと ジニョンを引き寄せる。

小指で髪を すいてやる。 耳元へ唇をよせると ジニョンがは・・と甘い息をついた。
恋人に見つからないように下を向いて ドンヒョクが口元で微笑む。


― ジニョン。 ・・・・僕が 欲しい?
 
深く胸に抱きこんで ジニョンの視線から逃れると ドンヒョクの顔に笑みが浮かんだ。 
可愛いな。 さっきから ・・・あれで 誘っているつもりだった?

「コホン・・」
「?」

笑い出しそうになるのを 少々不自然な咳に 紛らせて
幸せなハンターは 甘いいじわるを 思いつく。

― ジニョンssi モンジョ。  君から先に 「欲しい」と言ってくれないか。  


「ジニョン・・」
ジニョンの首を引きよせて ドンヒョクが 深いキスをする。
甘噛みしながら唇を味わい そっと舌を差し入れると 彼女が柔らかく吸ってきた。

 
恋人のいじらしい反応に ドンヒョクは夢中になる。 
応えてくれるままに追いかけると  ジニョンの身体から力が抜ける。 
今にも一緒に倒れてしまいそうなところを ドンヒョクはやっとのことで身体を離した。


心いっぱいの愛しさを込めて ドンヒョクが ジニョンを覗き込む。
いつもは恥ずかしげに 眼をふせる人が ふるえる瞳で見つめ返す。

ジニョン・・・ 僕が 欲しい?


― もう このまま抱き上げて 連れて行ってしまおうか。
迷うドンヒョクの腕を ジニョンがそっとつかんで 揺さぶる。
「・・ドンヒョクssi・・・」
「うん?」
「・・・・」

うつむくジニョンに ドンヒョクの方が 切なくなった。
恥ずかしがりやの 僕のジニョン。 「抱いて」なんて 言えないか。

それでもあきらめきれないドンヒョクは ジニョンの顔を覗きながら 頬を撫でる。


そっと優しいキスを送る。  指をすべらせて 頬をなぞる。
髪のほつれをすいてから もう一度キスで誘ってみる。 ・・・言わないかな?

ジニョンは 唇を少し開いて 恋人のキスを うっとり受けとめる。
唇を離すたびに 大きな眼が 次第次第にうるんできた。 

―もう・・・ だめだな。  こっちのほうが 限界だ。


意志の強さでは 比類なきハンターが  恋しい人に やすやすと降参する。
ドンヒョクが ふわりと抱き上げると ジニョンは 安らかに腕をまわした。

------ 


―残念だ。 君に「抱いて」と 言わせたかった。

ジニョンの ホックを外しながら まだドンヒョクは 悔しがっている。
―また こんなチャンスが ・・・・・あるかな。

下着を脱がせて 柔らかいところへ 唇を つけてゆく。

「・・あ・・・・・」

ジニョンの好きなそこへ ここへと 優しく唇を這わせながら
ドンヒョクはまだ もらえなかった言葉を 惜しんでいた。

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「・・・・・・嫌い・・・」

いきなり 恋人が ドンヒョクを 責めた。
「え?!」

「・・どう・・して・・・・そんないじわるをするの?」
「え?」 

頬を染めたジニョンが なんだか 泣きそうだ。
「・・ジニョン?」
「もう欲しいのに・・私をじらして・・・」


― モウホ シイノニ・・?


ジニョンの言葉を理解するのに ドンヒョクはしばらく時間がかかる。

「・・ジニョン!  ・・・・もう 欲しいの?」

答えるかわりに 恋人は 下から腕をまわして抱きついた。

「ジニョン・・・?」
「・・もう欲しい」

“待ってました。”
「え・・・?」
こっちの事さとハンターが言い もちろん 『ジニョンのお願い』 を聞いた。



ジニョンが 僕を欲しいと言う。

それだけでこんなに  胸が痛い。


ジニョンが欲しい君が欲しいと  僕はいったい どれほど君を追いかけたことだろう。
叩き返されたネックレスを握って 幾つの夜の 闇を見つめただろう。


神様 感謝します。 

今夜は ジニョンが 僕を欲しいと言った。


ため息に浮かぶジニョンを抱いて ドンヒョクがゆっくりと動いている。

恋人の 柔らかい声を聞き 
その声をあげさせる自分に 酔っている。 

ジニョンの手が シーツの上で迷子になって 不安そうにさまよっている。 
僕は ここだ。 手を開かせて しっかり捕まえる。

「・・ドンヒョクssi。」
「うん。」
「・・・ドン・・ヒョク・・・・ssi。」
「うん・・ジニョン。」


― ジニョン 僕を もっと欲しがれ。 

僕は そう いくらでも  君の願いを聞いてやろう。 
君が 僕を欲しいと言う。
そんな日を 僕は 待ち続けていたのだから。 

「ジニョン。・・・もっと?」


望みを叶えたハンターは  腕の中の宝物を  それは大事そうに抱きしめていた。

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