ボニボニ

 

My hotelier 43 - 誘 惑 - 

 




テジュンの社長室をのぞく。 思ったとおり オ総支配人がいた。

「ああ 理事? 今日はお約束でしたっけ。」
「いえ・・・ ちょっと ご機嫌伺いに。」

お前が ご機嫌うかがいだぁ? ハン・テジュンがいぶかしむ。
ドンヒョクは にっこりと近づいた。。
― 眼をむくな テジュン。 今日はお前に用じゃない。

「これは 総支配人。ご無沙汰しています。 奥様は元気ですか?」
「え? ・・ええ・・まあ。」

― ウソつけハイエナ。 お前のおかげで こっちは エライ迷惑だ。


-----



「今日は来られない? 何か用ができたの?」

がっかりと ドンヒョクが携帯を握る。 ジニョンの都合が悪くなった。


「うん・・。あのね、イ支配人が 夫婦ゲンカして 家を飛び出したの!」
イ・スンジョンの夫婦ゲンカと 僕の元へ来られないことに 何か関係があるのか?

「彼女 うちに転がり込んだの。 ・・当分ここにいるって。」
「ちょうどいいじゃないか。先輩に部屋を貸して 君はここに来れば・・ね?」
「ドンヒョクssi・・・」


家にイ先輩がいるのに サファイアには 泊まれないと ジニョンがいう。

「彼女 オ支配人が迎えにくるまで 家に帰らないって・・・・。」
「ちょっと待て。 
 それじゃあ 彼女の夫婦ゲンカが片付くまで  君 来ないつもりか?」
「・・ごめんね。 愛してる。」

冗談だろ。 僕は呆然と受話器を たたむ。
「こんなのって ないよな。」



RRRRR・・・・

「はい。 あらドンヒョクssi?・・ええ今日もいけないの。 ごめんね、愛してる。」

ハンターは 深く息を吸い 眼をつぶる。 神様 これは・・・なんの罰ですか?
「頼むよ ジニョン。 こんなことで君に逢えないなんて あんまりだ。」


まったく冗談じゃない。 オ総支配人 さっさと彼女を引き取って帰れ。

むっつりと ドンヒョクは眼鏡を外す。 眉根をつかんで ・・やがて 眼をあげた。

「イ・スンジョンね・・。」


------

「これは 総支配人ご無沙汰しています。奥様は元気ですか?」
「え?・・・ええ・・まあ。」

そういえばという風に ドンヒョクが笑う
「先ほどスタッフルームで 奥様をお見かけしましたよ。
 イ支配人って ああしてみると可愛いですね。・・・総支配人も幸せだな。」
「え?」

オ支配人の顔色が 微妙に変る。
年中 ソ支配人にベタついてる理事が 一体 私の妻に 何の用だ?


楽しそうに 眉を上げて シン・ドンヒョクは 思わせぶりだ。
「ジニョンもいいけど “スンジョンさんの赤い唇”も ちょっとそそられますよね?」
「え!!!」

「さてハン社長。 この間見せていただいたバランスシートなんですが・・」
ドンヒョクの話題が仕事に移ったので 総支配人が 怪訝な顔で退席していった。


「いったい・・何だ?」
総支配人の出て行ったドアを見やりながら テジュンが聞く。

「ふん。 あそこの家が家庭円満でないと こっちは 愛と下半身が不自由でね。」
「それは・・なんのナゾナゾだ? クイズは苦手なんだよ。」
― “クイズが苦手”だと? お前もか。 まったくいちいち気に障ることを言う奴だな。

-----


新館ロビーを見渡すテラスに オ支配人が立っている。
いいぞ そこからなら よく見えるだろう。

「イ・スンジョンssi! 今日は よく逢いますね。」
「あ。あら・・理事。 そうですね。 あの・・・ジニョンならねぇ 」
「・・今日は これで2回逢いましたね。 偶然が 重なって出会う2人。 
 3回めは 恋になったって・・キャッチフレーズがありましたっけ。ね?」  


まあ 素敵なお言葉ね。イ支配人が胸に手を当て 真っ赤な口で笑う。
「オ支配人と まだケンカ中ですか? こんな素敵な人を よく放っておけるな。」
総支配人の視線を確認しながら ドンヒョクも にっこりする。
「オモ・・・」

「あ・・・ 糸くずが付いてますよ。ほら ここ。」
イ支配人の肩先に ドンヒョクの指が触れる。

「・・私の妻に 触らないでもらおうか。」

振り返ると オ総支配人が立っている。 拳をにぎって 震えている。
何のことかなという顔で ドンヒョクが 彼を見る。
「今 ちょっと 彼女の糸くずをね・・・。」
「うそをつけ!スンジョンの仕事は ハウスキーピングだ! 糸くずひとつ見落とさない!」

この野郎 俺の妻に色目を使うなと 総支配人がドンヒョクの胸ぐらをつかむ。
イ・スンジョンが黄色い悲鳴をあげた。

―これで 何とか おさまってくれるかなあ・・・。

総支配人に揺すられながら シン・ドンヒョクは 神に 祈っていた。

------


「君のような素敵な妻を 放っておくと 危ないことがよく分かったと言って 
 あやまったそうよ。 もうベッタベタで帰ってったワ。見てる私の方が バカみたい。」

サファイア・ヴィラのベッドの上で ジニョンが 腕枕にあごを乗せている。

「何でも 男が言い寄るのをオ支配人が見つけて 止めたんだって。」
「ふん!」
「ふんって ・・・・何で怒っているの?」
「僕だって 言い寄りたくて 迫ったわけじゃない。まったく腹立たしい。」

え?・・・・ええ?

「言っただろう? 君を手に入れるためなら 僕は手段を選ばないんだ。」
「じゃあ イ・スンジョンを誘惑したプレイボーイって・・・・・?」

そうでもしないと オ・ヒョンマンが彼女を引き取っていってくれないだろう?
ドンヒョクが ジニョンごと 腕を組む。
「・・・んぷ・・・。」
「ああ やっと君が来た。 こんなに待ったのはN.Y.以来だな。」


こんなに待たせちゃ 利子が膨らんでるぞ。
 1度や2度じゃ 寝かせないからな。

「・・・ドンヒョクssi・・・。」

-----


ソウルホテルの女子更衣室。 イ・スンジョンが近づいてきた。
くいっと 腰をひとひねり。 唇いっぱいで 聞いてくる。

「ねえ? ジニョン。・・・あなたたち・・その うまくいってるの?」
「はぁ・・・・おかげさまで・・・。」
いささか ぼうっと ジニョンが答える。

「ん~? でもバラ300本って。 ちょっとその・・・欲求不満とか じゃなくて?」
え・・・そんなこと・・・ないと思いますよ。 ・・・ぼうっと ジニョンが着替え始める。

「んま!」
スンジョンが 真っ赤な口を ぱっくり開けた。
ジニョン・・あの・・ その・・・ 心配は ないみたいね・・・じゃ・・良かった。

「は・・・・?」
ぼうっと 自分の身体に視線を落としたジニョンが がばっと前をかきあわせる。
「イ先輩。・・・見た?」
「見た。 ・・けど 数えてないわよ。そんなに たくさんのキスマー・・」
ソ・ジニョンが 慌てて先輩の口をふさいだ。


― 夫婦ゲンカは犬も喰わない というけれど・・・
  イ・スンジョン。 
  あなたの夫婦ゲンカのおかげで 私が喰われて フラフラよ・・。

 ←読んだらクリックしてください。
このページのトップへ