ボニボニ

 

My hotelier 80. - ドランカー - 

 




男の人はね  釣った魚に 餌はやらないの。

百万の言葉で射止めた女でも 自分の物になると飽きてしまう。


それは 熱烈な求婚をされて 結婚した友人の破局。
なんだか 哀しいお話ね。
いくら 愛し合って結婚しても ・・・飽きてしまうものなのかしらね?
そんなことを考えていたから 少し飲みすぎちゃった。

-----


「ジニョン義姉さん。 ほら お水 しっかりして。」

「ん・・・・。 レェニー ありがろう。」


ゴクゴクと ジニョンは喉を鳴らして水を飲む。
もう寝るわ・・。
ふらふらと 自分の部屋に消えていく。


ピンポーン・・

こんな時間に 誰? ジェニーがドアミラーから 外を覗くと
ドンヒョクが 少しうつむき加減に ドアの前に立っていた。


「・・・オッパ? こんな時間に?」

呆れ顔でコーヒーを出す妹に ドンヒョクが照れて 少しうつむく。
「この頃 忙しくて・・・ 一緒の時間が全然ないから。
 ちょっと 2人の顔だけでも見て帰ろうかなと思って 寄ったんだよ。」


残念でした。ジニョン姉さん たった今寝ちゃったわ。
お友達と遊びに行って お酒を飲んで 帰ってきたの。


「友達と? ・・・・誰?」
「知らない。熱烈に求婚された人だって。」
「求婚って 誰が? まさかジニョンが・・・か?!」
「う~ん・・ 良くわかんないのよ。 ロレツが廻ってなくて。
 釣った魚に餌が どうしたこうしたとか・・・。
 オッパが 仕事にかまけて放っておくから 義姉さんすねちゃったんじゃない?」


オッパ 悪いけど私も寝るわ。 明日 早いのよ。
ジニョン義姉さんに会っていくなら 
帰るときには 鍵かけて行って。合鍵 持ってるでしょ?


あくびまじりの妹が 髪をかきながら 部屋に引き上げる。
ドンヒョクが 呆然とひとり リビングに残された。


カチャリ・・・

そっと 恋人の部屋にはいる。
「ジニョン?」

酔っ払いの恋人は ベッドで 枕に抱きついている。
ベッドのそばにひざまずいて ほつれた髪をすいてやる。
「・・もう 寝てしまったのかい・・・?」

これじゃ 話にならないな。 今夜はともかく 出直そう。
立ち上がりかけたドンヒョクの手を
ジニョンが くん と捕まえた。

「・・・ロンヒョクssi・・・。」
揺らぐジニョンは半眼のまま ベッドに やっと身を起こす。
「ジニョン? ・・・君 大丈夫なの?」

「らいりょーぶじゃ ありません。ロンヒョクssi・・?」
「うん。」

ひっく・・

「男は 釣った魚に ・・・・餌はやらないの?」
「最近 僕が忙しくて 一緒にいられないことを言ってるの?」
「ん? そうそう・・ロンヒョクssi・・は・・ 最近忙しいのよね。」

―・・・これは。  僕は まずいことになっているんじゃないか?

「君・・・。 誰かに 熱烈に求婚されたって?」
「ロンヒョクssiはぁ  忙しいのよ。 でも 私もぉ ・・寂しいのよ。」

「それで 君に求婚するような奴と 飲んでたの?」
「キュウコン? ああ・・・彼の話? そうそう百万の言葉で 射止めたの。」
「射止めた? えっ?!」


酔っ払いとの カタコト会話。
2人の話が ありありと食い違っていくことに
双方 まるで気がつかない。


「魚は釣ったって ・・・餌は・・・あげなくちゃね。」
「ジニョン。 そんなに寂しかったの?」
「寂しいっていうか。 なんだか・・・哀しい・・お話よね。」

話を聞くうちに ドンヒョクの眼が 青く燃える。
「君は・・・。 本気で 言っているのか?」
「・・・?・・・・」

ぐらぐらと廻る眼で ジニョンが ハンターを見る。
 ・・・ドンヒョクssi・・・?
何で そんなに怖い顔をしているの?
この頃ちっとも会えなくて 怒りたいのは こっちなのに・・・。


「らによ。 そんな顔しても 怖くないわよ。」
だっこをせがむ子どものように ジニョンが恋人に手を伸べる。

「寂しかったんらからね。 ・・・・早く。」
「・・?・・」
「らきしめてよ。」
「え・・・・?」

理解力では誰にもひけを取らないほどの
敏腕M&Aハンターも
酔いの廻った恋人の論理が さっぱり理解できない。

ともあれご要望にお応えして。 ドンヒョクが ジニョンを胸に抱く。
「・・・ロンヒョクssi・・・わらしのことずっと 愛してる?」
「君こそ。」
「・・・んふ。 愛している・・わ。」

チュッ!

おい 熱烈に求婚したという奴は いったい どうなったんだ?

訳を知りたいハンターが ジニョンをつかまえて 正面を向かせる。
トロリと酔った 恋人は 目の前のネクタイを解いている。

「・・・ちょっと 待って。」
「ん? ・・・違うの?」

いや あの 確かに君は欲しいけど その前に ちょっと聞く事が・・。 
「ん? ・・・愛しているわ。 それじゃ らめなの?」


やれやれ。さっぱり解らない。

―・・・でも いいのかな。
 一番肝心な事は もう 聞けたのかもしれない。

「ジニョン・・・。」

-----



いったい誰が 寂しいんだって?

腕立てをしたハンターが ため息をひとつ 眼をつぶる。
ドンヒョクの身体の下で ジニョンが すうすうと寝息をたてている。


「もしもし 僕のジニョンさん。
 これから愛し合うんじゃ なかったの?」
「・・・○△※$・・・。」
「・・・・・。」

はあ・・と ハンターが 深い落胆。
寝込んだジニョンを 腕に抱いて横たわる。

「僕にも 餌をくれないかな・・。」


とりあえず 
熱烈求婚男とやらに 渡すわけにはいかないからな。
今夜はジニョンを  しっかりと 抱いて寝よう。


心配半分 安心半分のハンターは 獲物を抱きしめて 眠りについた。

 ←読んだらクリックしてください。
このページのトップへ