ボニボニ

 

My hotelier 87. - 隠しごと - のおまけ(真夜中の攻防)

 




サファイア・ヴィラの午前1時。



キングサイズのベッドの上で ジニョンの細い足首を  
シン・ドンヒョクが 捕まえる。


「だから・・ 君を 驚かせようと思ったんだ。」
「離して!」
ここで離したら 逃げられかねない。
しっかり足首をつかんだままで ハンターは ネゴシエートを開始した。


君だって 仕事が不規則だし 深夜勤務もある。 家が近ければ 便利だろう?
何かの時には すぐ駆けつけられるし。 支配人の鑑だな。


「プライバシーはどうするのよ? 生活が職場に筒抜けじゃない」
「大丈夫。 防音設備は放送室並みだ 君がどんなに・・。」
「・・・そ、そんなコト言ってないでしょう!」


きゃあっ!

ドンヒョクが 握った足を引き寄せる。
ふわりと 恋人に覆いかぶさるハンターは やっと本音を覗かせる。




「探したんだよ。 新居・・・。 それはいろいろ さ。」


だけどジニョン。 ソウル中を捜しても どこにも 無かったんだ。

庭にベテランのガーデナーがいて 入り口に美丈夫のドアマンがいて
神の手を持つバーテンダーと 絶品料理を作るシェフのいるような
そんな新居はさ・・・。
「きれいな脚の 素敵なフロントレディーは確保したけど・・。」


ここを離れて新居をもったら 僕は 君を待たなくちゃいけない。
ソウルホテルという きらめく城から 君が戻ってくる時を。


「君と ソウルホテル。 どちらも ・・・僕は手放せない。」
「ドンヒョクssi・・。」

眼を伏せて。  シン・ドンヒョクは 裁きをまっている。
まじまじ見つめるジニョンの顔が  やがて ゆっくり解けてゆく。


ああ・・ そうね。

いつかあなたは そうなっていた。


ソウルホテルの王子様。 あなたは 私のソウルホテルを 
ひょっとしたら 私が愛する以上に 
愛しているのかもしれない。



「・・・やってみましょうか・・。」
「?」

ソウルホテルと あなたとの 暮し。
そうね ひょっとして私には 案外向いた暮らしかもしれない。



「でも それなら1つ条件があるわ。」
「?」
「家を建てるんでしょう? ジェニーの部屋を用意して。」
「え・・・?」
「あなた シン家の 長男でしょう? 
 アメリカ育ちの幼い妹に 知らない街で 1人暮らしをさせるつもり?」


でも・・・ジェニーが何ていうか。

「大丈夫!  実はもうすぐ私がいなくなるって 凹んでるの彼女。」


ジニョンの足を つかんだままで ハンターは間取りを考える。
僕らの部屋と 反対側に離して 専用出入り口も別につけて・・。
防音設備と 防振設備。
「OK。 ジニョン 交渉成立だ。」



商談を終えたハンターは  獲物の足を まだ離さない。
何故かと言ってこれからは  別の 交渉ごとがあるからね。
「ジニョン・・・。」

大丈夫だよ。 ソウルホテル。僕は 君を手放さない。
ソウルホテルと ソ・ジニョン。
どちらも 僕が捕まえた宝物だ。


シーツの波が ふわりと揺れる。 恋人を捕まえたハンターは 
ソウルホテルのきらめきの中で 甘い夜へと 泳ぎだした。

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