ボニボニ

 

My hotelier 161. - クラウン - おまけ

 




ドンヒョクssiがウチにチェックインしていることは



他の皆に 絶対・絶対・絶対!! 秘密よ!


フロントの部下を脅かして 口止めしたはいいけれど
早く行かないとドンヒョクssiは 何をしでかすか解らない。




ジニョンはきつく唇を噛んで ヴィラへの道を小走りに歩いていた。

彼女の夫は15分ほど前に 世にも優雅な笑みを浮かべて
そ知らぬ顔でソ支配人の側をすり抜けながら 「先に行くよ」と囁いたのだ。


先に「行くよ」ですって? 「帰る」じゃなくて?!

お客様の身分を手に入れるために チェックインしただけではないの?
ドンヒョクssiったら 本当に 今夜ソウルホテルに宿泊するつもり? 



ジニョンは人目を確認するため ドアに背中を向ける形で立った。

キョロキョロと周りを見回しながら 後ろ手でそっとノブを回す。


これじゃ まるでスパイみたい。
ついつい けわしい表情になる自分を ジニョンは内心滑稽に感じた。



「さながら マタ・ハリだな」

きゃあぁぁっ!

いきなりうなじにキスされて ジニョンは心臓を取り落とす所だった。
ハンターは猫のように忍び寄り 部屋へ滑りこんだ恋人をドアの内側で捕らえた。


「ん~ん♪ 誰にも見つからないようにして来たの?」

別に構わないじゃないか 自分達のホテルに泊まったって。
愛しい首筋へ唇を這わせながら ドンヒョクは内心ほくそえんだ。


やっぱり周りには秘密にしたか 誰も気になんてしないのに。

恥ずかしがり屋の僕のジニョン。 でも それでこそ「ゲームが面白い」。


--------



・・・・ぁ・・・・


シーツへ横たわるジニョンの身体の 両側へ大きく手をついて
好物の獲物を組み伏せたまま ハンターは満足の息を吐いた。


鍛え上げた身体でひと泳ぎすると 恋人が甘い声をあげた。

片手で腰をわしづかみにして 動きを次第に強くしてゆく。
ドンヒョクの肩に爪を立てて ジニョンの身体がしなやかに反った。



久しぶりだね My hotelier。  君の応えかたが 遠慮がちだ。


骨の髄までホテリアーである君は 客室で僕と愛し合うことに
ちょっと ためらいを感じてしまう。 例えそれがオフタイムでも。



僕がサファイア・ヴィラに“住んで”いた頃。 ホテルから君を奪い取って

自分のベッドに引き込むことが とても楽しいゲームだった。


ホテルの中をこっそり急いで 僕の腕の中へやってくるジニョン。
ささやかな罪の意識を 僕のために乗り越えてくれる君が嬉しかった。

この頃 君は僕との時間より 仕事を優先しがちだし

僕のジニョンには ここらで少し ホテルより僕を気にしてもらわないとな。




・・・な・・に・・?


「何でもないよ。声 出して」
「・・だって」
「また“だって”だ。 聞こえやしないよ」


言い聞かせておいて 攻めたてる。 ジニョンが懸命にこらえている。

君の中にある ホテリアーのためらいを壊すことがとても楽しい。
結局 最後は降参して ジニョンは僕の好きな声をあげる。


シーツへ恋人を放しながら ハンターは ささやかな勝利に酔った。



------



翌日 オフィスのソ支配人は 自分が昨夜眠った場所が

イ・スンジョンを始めとして ホテル中に知れて渡っていることにあ然とした。




「ホテルの隣にお家があるのに 何でサファイア泊なのかしら?」

「・・・」


やっぱり理事は アタクシ達ハウスキーピングの整えた部屋が魅力なのね。
ああ なんて可哀想な理事。家事の出来ない女に捕まって。



「オモ! 家事が出来ないですって? 苦手なのは・・り、料理だけよ!」
「あら~そうだった? お得意なのはフロント業務だけかと思ったわ」

ホッホッホ・・


子どもが産まれて迫力を増したヒップを イ・スンジョンはぷりりと揺らした。

ジニョンは ルージュを塗りながら鏡越しに先輩を半眼でにらんだ。




―だけど どうしてバレたのかしら? 
 後輩は絶対言っていないと言うのに・・まさか ドンヒョクssi!



カシッ!

ポケットへ見事に球を落として ハンターがいたずらそうな眼を上げた。

「・・僕が 何を言ったって?」

「だから! 私達がホテルに泊まったこと。 誰かに言ったでしょ!」
「秘密にしてと 君に言われたんだ。 僕が言うはずないだろう」
「だけど・・」

「2人の秘密。 そんな甘い約束は破らない」


大体君は 隠し事が 呆れる程に下手だからな。きっと抜かりがあったんだろう。
そうだな例えば 僕らの外泊について ジェニーに口止めしなかったとか。
 

「あっ!」

「やれやれ。 そんなずさんな仕事じゃ詐欺師は務まらないぞ」
「詐欺なんかしないもの。 あぁ・・ちっ・・」
「それからスタッフの申し送りで VIPの連泊はチェックされるだろう?」

「ああ そうか。 ・・って え? 連泊?」
「クリスマスに家にいても独りだから 君の休みまでここへ連泊することにしたんだ。
 宿泊客なら 他のホテリアーたちも喜んで僕と遊んでくれるからね♪」


「ち、ちょっと! ドンヒョクssi!」

「勤務時間だぞ ソ支配人。 公私の区別はつけてもらおう。
 “困りますミスター・シン!” う・・ん。 ちょっと他人行儀かな」
 


僕がヴィラに泊まっているのに 君が自宅へ帰ったりしたら
夫婦喧嘩をしたの?なんて きっと周りが煩いだろうね。



「・・今夜も ヴィラへ来てくれるだろう? ソ支配人」


悪魔のようなハンターが にっこり恋人を追い詰める。

2009年のクリスマス・ホリディ。 ドンヒョクは「自分の家」で遊んでいた。

 ←読んだらクリックしてください。
このページのトップへ