ボニボニ

 

JUNI それからstory 24

 




いや ママ。 いくら何でもそれは 早過ぎないか?


ゴキュン・・・。

パパが唾を飲み込む音が その時 アタシにもはっきり聞こえた。
「早いわよ。」
ママは そんなの当然でしょと言わんばかりの顔をする。
早すぎるけど 結婚に相応しい年齢まで待つことが いつも最善とは限らない。

「とりわけ ジュニちゃんの場合はね。」


日曜日の昼下がり。
我が家は 緊急(?)家族会議になった。
議題はアタシの結婚だ。 いまだに・・・半分 冗談みたいだけど。




ママの提案を4日考えて アタシは 結婚することを決めた。

アタシもジュニも不安定で まだ全然 先は見えない。
こんなアタシたちが結婚していいのかなって思う。

・・・だけど 不安定さを支えあって生きるという方法は
なんだかアタシたちに ふさわしい形のような気がした。



「だけどなあ ママ。 若すぎる結婚に失敗したら 茜が傷つくぞ・・。」

「総ちゃん!」
・・・・ぐ・・・・
「ジュニちゃんと茜に関して言えばね。 私 大丈夫だと思っているの。」


もちろん若すぎるが故に 2人の結婚生活が破綻する危険性はあるわよ。

だけど 2人がお互い「ああ だめだ」と思って出した結論なら 
「それは・・・・ “仕方がないと言える範囲の不幸”だと思う。」
そうしたら茜は家へ帰ってきて また やり直せばいいじゃない。

でもね 総ちゃん?  万が一 2人が結婚できない事態になるとしたら
「間違いなく そっちの状態はカタストロフだと思うわ。」
「・・・・。」


ママは まっすぐパパを見詰める。 
「私は もう2人を一緒にした方がいいと思う。」

茜のために ジュニちゃんが人生をつぶしたら ・・パパはどうする?

「きちんと検証してみて」と 今日のママは 珍しいことに“漢字で”言った。

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次の週末。  神岡を引き上げたジュニが 帰って来た。


空港から 部屋へも寄らずに来たのかな。 ディパックを肩に下げている。
リビングへ入ってきたジュニを見て アタシとママは 首を傾げた。
・・・・コホ・・ン・・。
「?」

「お帰りなさい。向こうは ちゃんと片付いた?」
・・・・あ? ・・えぇ・・はい・・。
「??」


一体 ジュニはどうしたの?  
なんだかドギマギとして 落ち着きがない。
視線は泳ぐし 頬は赤いし コーヒーにお砂糖を4つも入れるし。
やっていることが なんか 変。

「あの・・茜さん。 け・・怪我は 痛みませんか。」
「もう平気。 ねえジュニ・・・? 何かあったの? 大丈夫?」
「・・だ・・・大丈夫です。」
「????」



おー、やっと 山から戻ったか・・。
床屋さんに行っていたパパが さっぱりした顔で帰ってきた。

ガタガタッ!!
・・・何? ジュニ? 
弾かれたように立ち上がったジュニは  パパに向かって気をつけの姿勢をとる。


パパさん! 
「あ?」 
「あの ・・・本当ですか?」


本当・・・ですか?

ジュニの瞳には涙まで浮かんで ゆらゆらと 今にもこぼれそうだ。
生まれたての子鹿みたいに 身体が小刻みに震えている。
「おい ジュニ?」
「本当・・・ですか? 本当に 僕 茜さんと・・・結婚・・出来るんですか?」
「お・・・・。」



本・・当・・・ですか?  
柔らかく深いその声に アタシは 思わずジンと来た。

戸惑うジュニは春の木洩れ日みたい。 頼りないのに まぶしいほどにきれい。
唇を噛んで 胸に手を当てて なんて切なくて・・嬉しそうなんだろう。
「本当・・・ですか?」

パパは 呆然と 目の前のジュニを見つめている。
・・・ねえ ジュニ? 
でも パパはまだ 結婚のことはね。



「幸せに・・・なるんだろうな? 茜も お前も。」

パパ?

「はい! 絶対。 僕 全力で頑張ります!」
「・・・・だけど 子どもを作るのは お前らが一人前になってからにしろ。」
「パパさんっ!!」


う・・・っそ。  ジュニってば すっげえ力持ち。
感激のあまり パパをうわ~っと抱き上げる。
72キロもあるパパの身体が プリマドンナみたいに リフトされた。 

「ありがとうございます!!」
ばっ! 馬鹿! おいっ 降ろせっ!

あーあ・・・・ もぉ。 
じたばた逃げるパパの足から スリッパが マヌケにぽとんと落ちた。




茜さん 茜さん。 ・・・パパさんのお許しが 出ましたよ。
ジュニの笑顔が 半分泣いてる。
「・・・僕のお嫁さんに なってくれますね?」

ジ・・ジ・・・ ジュニってば。
そういう事は 2人きりの時に言って欲しい。


パパを降ろして振り向いたジュニは アタシの両手を握りしめた。
パパもいるからママもいるからあのあのあのあの キスとか しないで。
「あぁ 僕・・・ とても幸せです。 もう どうしていいのかわかりません。」

ちゅっ!

「んぷ・・。」
唇でキスがひとつはじけたと思ったら 目の前が暗くなる。
ジュニはアタシを胸に抱き入れて とても嬉しそうなため息をついた。


・・・・パパたち 呆れて見ているんだろうな。

でもいっそジュニの胸に埋まっていれば パパの顔が見えない分楽ってモンで。
アタシはとりあえず 奴の大胸筋に 顔をくっつけていることにした。


「パパさん!ママさん! 僕 茜さんを 一生大事にします!」
「うふ・・・お願いね。」

微笑むようなママの声。 
きっとジュニはあの完璧な笑顔で うちの両親に 宣言したのだろう。

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お夕飯の後。 アタシは ジュニの部屋へ行った。

いつもは勉強とか DVD見にとか 理由をつけて行くけれど
今夜のジュニは言い訳もなしに ただ「茜さんをお借りします」と言う。

その言い方が すげー大人っぽくて ・・・アタシは ちょっぴりドキドキした。


久しぶりの ジュニの部屋。

骨を折ってからというもの アタシは 奴の部屋へ行っていない。
部屋へ連れて行ってしまうと 茜さんを抱きたくなりますと言って
ジュニが 来るのを許さなかった。

だけど今日は ジュニ。  ・・・2人っきりになりたかったのかな。




「茜・・さん。」

ベッドへ座ったジュニは アタシの手を引いて 膝に座らせた。
人形の髪をとかすように 丁寧に髪をすきながら話しかける。
「本当に ・・・いいんですか? こんなに早く結婚して。」

「ジュニは 嫌なの?」
僕はとても嬉しいです。 ただ・・・ 茜さんが後悔しないかなって。
結婚してしまってから 後悔する茜さんを見るのは 嫌です。

「いいんですか?」


そんなに念を押されると せっかくの決心が揺らぎそうだよ。
「やっぱり止めたって ・・言ってもいい?」
「えっ!!」
自分からいいかと聞いたくせに ジュニってば 眼をそらしてしまう。
うつむいたまま腕をまわして アタシの身体を抱き寄せる。

「・・・・ここで止めたと言われると 僕 悲しくて死にそうです。」

こいつの場合 本当に死にかねないんだから ・・それ 冗談になっていないよ。
ジュニの胸に寄りかかる。 トク トク と鼓動が身体にひびく。
もたれかかったアタシの頭に ジュニがそっと頬を寄せた。

「茜さん。」
「ん・・」

僕は まだこんなにも未熟で 無力で 不完全です。
「・・・・。」
大きな腕が アタシを包む。
アタシを胸に閉じ込めて ジュニは 切なげに眼を閉じる。
「僕は 茜さんを ・・・ちゃんと守れないかもしれません。」


ねえ ジュニ・・?

アタシが 結婚しようと決心したのはね。
「ジュニが 未熟で 無力で 不完全だからだよ。」

・・・え?
「未熟だから アタシでも ジュニの力になってあげられる。」
「・・・・。」

ジュニは 頑張り屋さんだけど 完全なんかじゃなくていい。
「不完全なら その隙間にアタシがもぐって 支えることができるでしょ?」
今のジュニなら アタシだって役に立てるかもしれない。 そう思えたから。
「だから 結婚しようって決めたんだ。」
「・・・・。」


ぽろ・・・

ジュニのきれいな瞳から 一粒 涙がこぼれ落ちる。
胸の中から見上げたら ジュニは 恥ずかしそうな微笑を作った。
「茜さんは やっぱり 本当に・・・すごいな。」

未熟が 結婚の理由になるなんて 思いもしませんでした。
「僕は・・・幸せ者です。」

綿菓子機が糸をはきだすように ふんわり と笑顔が甘くふくらむ。
幸せそうなため息が耳元で聞こえて こめかみにジュニのキスが来る。

ふぅ・・ん。 とてもいい気持ち。
抱きしめられるのも 久しぶりな感じ。
アタシをくっとつかんだジュニは でも だめだめって手を下ろした。

骨折騒ぎがあってから ジュニは 本当に臆病になった。
抱きしめるのも遠慮がちで 必死に 自分を抑えている。


「ジュニ・・?」
「はい。」
「骨・・ね。 もうくっついているって。お医者さんが言ってたよ。」
「え?」

・・・ううう。 これはやっぱり 「誘っている」ことになるんだろうか? 
アタシは かあ~っと赤くなる。
だってジュニ。 アタシはもう これ以上ジュニの後悔を見たくないんだ。

遠慮がちに覗きこんだジュニは おずおずとした声で探りを入れる。 
「・・茜さん。 この先もいいと言っているんですか?」

だ・か・ら そんな事を確かめるなっ!

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ジュニの腰は とても細い。

そこから身体が逆三角形に膨らんで 凶暴な獣の筋肉になる。
シャープな線で引き絞られた腰が ぐっと大きくひと泳ぎして
ジュニは アタシの真ん中へ まっすぐに身体を挿しいれた。

「・・・・ぁ・・。」
あぁ・・・

アタシの声よりもっと深く ジュニが男の声を上げた。
は・・・と アタシに笑いかける。
「快感で目まいがしそうです。」

「茜さんの中は久しぶりです。 あぁ やっぱりすごくいいです。」
ジュニ・・・。 あの 感想は言わなくていいから。
「うふふ 茜さんもいいですか?」
だ・か・ら 感想を言わせないで。

慌ててそっぽを向くんだけど アタシと1個になったジュニは
もう最高にご機嫌で アタシの顔を両手でつかむ。
「は・・な・・して・・。」
「だめです。ねえ 茜さんもいいですか?」


こいつってば。 どんなに凹んでしまっても アタシを食べれば元気が出る。

じたばた逃げるアタシの身体を そっとがっしり 押さえつける。
「答えないつもりですね?」
「・・・げ。」
「わかりました。身体に聞きます。」

気の遠くなるようなキスをひとつ。ジュニは 陽気に揺すりだす。
「愛しています。」

・・・あ・・・あ・・あ・・・・

ゆらゆら揺れるアタシの身体は もう折れた骨の痛みを感じない。
湧き上がる快感に唇をかむと 目ざとく見つけた悪魔なジュニがキスに来て
ほどかれちゃったアタシの唇は 甘い声で泣きはじめる。

涙目で火照るアタシを見ながら ジュニはうっとり動いている。
身体の中を探るジュニがアタシの恍惚をつかまえた。 背中が 思わず反りかえる。
・・あ!・・・あっ!・・あっ!・・・ 

「行ってください。」 ジュニは 動きを強くする。

アタシはいっぱいに突き上げられて ひとつめの絶頂に溶けていった。

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