ボニボニ

 

愛しのプロフェッサー 18 おまけ

 




小麦粉を入れたジャーの下から 置き手紙を取って握りしめたら

プロフェッサーが 私の後ろで とても静かな息を吐いた。



「・・・そんな場所へ置かれたら 僕には見つけられません」

あぁそうか。 見つけられない様に ですね?

手紙が無ければ 僕は 貴女がヘッドハンティングされて去ったと思う。
そう 考えて欲しかったのでしょう? 
それでも 手紙は書きたかった。 「最後だからです」

「・・・・・」


・・どうして?・・
男女の機微などというものは まったく「専門外」のはずなのに。
プロフェッサーはいとも簡単に 私の想いを言い当てた。


あ然としている私へ 教授は 後ろ手を組んで近づいてくる。
悪戯そうな眼で首をかしげ 顎をつまんでキスをした。
「“観察”と“状況分析”です」  

人の思考も ある程度は 論理的思考で説明できるということです。


「そして“仮定”。  科学者に重要な資質は 想像力ですから」

そういいながら プロフェッサーは 引込めようとする私の手を握った。
「その手紙は おそらく僕へのラブレターです。 もらえるのでしょう?」
「だ、だめです!」

・・・ふぅん?・・・・


ふぅん?って あの プロフェッサー。 
なんだか その 私 いじめられている気がするのですけど・・・。

「いいでしょう。 それを書いた時からは 状況が変わりました」
では 書き直して1週間以内に再提出してください。
「えっ!」


・・・あ・の・・・プロフェッサー?・・

「あぁユナ すみません。 飛行機の中で眠れなくて もう倒れそうです」
え? あ、はい。 では・・お休みください。

「私は 食事の用意でもしておきます」
「だめです」
「え?」

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プロフェッサーはあくびをすると 私の手を引いて寝室へ行った。

さっさと服を脱ぎ捨てると 私を抱えてベッドへもぐりこむ。
それはまるで ヌイグルミを抱いて 眠りに向かう子どものようだった。

「すみません。 話は ひと眠りした後で・・あ ユナ?」
「はい」
「・・貴女が遠くへ行ってしまわなくて本当に良かった」
「!」


・・・心配で・・・飛行機・・寝られ・・・な・・・・・・

プロフェッサーは 私を 四方固めにフォールしたまま
時差ぼけの睡眠不足を解消すべく 柔らかな寝息を立て始めた。

重いです・・プロフェッサー。

さすがに下敷きは苦しいので 身をよじって横へ逃げると
寝ている教授が わたわたと動いて 腕と脚を私にからめた。

・・・・・だめです・・・・

クフン と不満そうに 寝ながらのため息。
プロフェッサーは眠りの淵から 無理矢理私と話そうとしているらしい。
呆れて見守る私の方が ・・・幸せに負けて 吹き出してしまった。



プロフェッサーの腕で 勝手に腕枕をこしらえて そっと彼に寄り添ってみる。
いいのかしらとためらいながら 裸の胸へ頬をつけた。

寝ぼすけな手が 私の背を撫でる。 どうやら手触りが気に入らないらしく
上着の裾から手を差し入れて 肌を探り当てるとそこで止まった。
「・・・・・」


・・・あのぅ 神様。 

多分 これは幸せな 悩みなのだろうと思いますが。
“動けません”

なんとか顔を上へ向けると 近すぎるそこに 寝顔があった。
芝生の上で、ランドリールームで、寝ていた時と同じ 恍惚の眠り。

プロフェッサー・・?

天才的なあなたの頭脳は 膨大な冷却を必要とするコンピュータのように
膨大な眠りを欲しがるのかもしれません。

それなら 私は 幸せ者です。
プロフェッサーが眠る時間。 
世にも美しい奇跡の寝顔を こんなに間近で見られます。



彼が迎えに来てくれたのだから こんなことをしても いいかしら?
一応 周りを見回してから そっと寝顔へキスをする。

唇を離して確かめても 教授の寝顔はぴくりともしない。

私は 腕枕へ頭を落として うっとりと彼の鼓動を聞いた。

-----



・・・問題は・・僕の反応でした・・・・駄目と思っても・・・

理性で・・・・抑えきれない感情が・・恋・・かもしれませんね・・・


って? 何のお話ですか?

身体中が なめらかなもので撫で回されているんですけど 私?
「ここもいいですか?」
・・・・・? 「!!」

プ・・プロフェッサー! あの “つぷっ”・・って 今 指がその・・

あぁユナ 僕 ちょっと余裕がないみたいです。 
すみません。 後で ちゃんとゆっくり愛しますから 
「先に 1回 お願いします」 


言うなり 指がそこを開いて 中の潤みを愛撫して去る。
入れ替わりに来た熱いものは 私をミシリ・・と きしませた。

・・プ・・ロフェッサー・・・・

「まだ痛かったですか? ごめんなさい」
・・・どうして・・こんな・・
「どうして? さっき 抱いていいかと聞いたら 「ん」って。 ・・・違うんですか?」


・・・寝ボケていました。

プロフェッサーに添い寝するうち どうやら緊張の糸が切れた(らしい)。
私は すっかり眠りこんでしまい 
先に目覚めた教授の誘いに 夢見心地で応えていた(らしい)。


いきなり 恥ずかしさが押し寄せる。 

だけど もう既にこの状態で 恥ずかしいも何もないわよね。
もじもじと 私の上でも中でも プロフェッサーが戸惑っている。


・・・・ユナ? ・・怒っているのですか?

ふ・・・
「怒っていますよ。 キスが先です」
「ワオ・・」



ああ素敵。  プロフェッサーが笑うから 私は とても幸せになる。

私の微笑を見た彼は 安心して ひどく嬉しそうに笑った。

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