Lusieta

 

続・この場所から 1月の風 2007 Ⅰ-1

 

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ーーーーside アヤノ






    ーーFrom テヤン

    今どこ?



    ーーFrom アヤノ

    デスクにいるよ。テヤンは?



    ーーFrom テヤン

    あなたのすぐそばで、コーヒー飲んでる。



    ーーFrom アヤノ

    行く。






   


“さりげなく”のつもりで席を立って、同じ8階のベンディングコーナーへ急ぐ。

今日は撮影で来てることを知ってて、何となく心の準備をしてた。

泊まりの仕事が続く。 

昨夜は帰って来なかった。、

それだけで、朝からこんなに恋しいなんて・・・



そして、家ではないところでテヤンに会うというだけで、

こんなにドキドキして,

勝手に顔がほころぶなんて・・・

まいっちゃうなぁ。



やっぱり私たち“新婚”だから・・・・ってことにしよう!




ちょうど1年たった。

そこはサトちゃんとおでん食べながら眠ってしまった場所。

偶然それを見て動揺したテヤン・・・

追いかけた私・・・



1年たったんだ・・・




廊下の奥、壁が途切れると、

テヤンが見えるはず。


ガラスの壁面いっぱいに降り注ぐ陽射しの中で

コーヒーを飲んでいる背中が見えて・・・・



ん?・・・



「・・・!!!」




窓に向かったカウンターに座る彼の後ろから、

そっと近づいて目隠しをするのは・・・私のはずなのに。



誰?



すらりと伸びた長く細い手足。小さな顔。

彼女のような女性は、ラフな格好をして一人で廊下を歩いていても

このビルの中で、一目で撮影に来たモデルだとわかってしまう。

明らかに違う空気をまとっているから。



降り注ぐ陽射しの中で、美しく座る男の後ろから、

これまたひときわ美しい女が近づいて・・・・




白い指が、そっとテヤンの目を覆った。




     なんて絵になるんだろ・・・・

   
     映画のワンシーンみたいだ・・・




テヤンの口元が、フッとほころんで


「ずいぶん早かったね。」って言った。


   

     テヤン、間違えてるよ・・・・





私はなんだか申し訳ないような、変な気持ちになっちゃった。


     
なんで?ーーーー

  たぶん、二人があんまり美しすぎて。




動けなくなった。

     
なんで?ーーーー

  せっかくのシーンを壊すのが悪いような・・・・
  こんな場面で出ていけないような・・・
  ドキドキして・・・
      う~~ん、よくわかんない。



なんで? なんで引き返すの?ーーーー

  なんか、勝手に足が動いちゃうから。




なんで、デスクに戻らないで、ロッカーのコートをとってるの?ーー

  外に出るの。



なんで?ーーーー 

  風に当たりたいから・・・



なんで?ーーーー

  そんなこと知らない!!!



前からサトちゃんが来るよーーーー

  そんなやつ知らない!!



「おぉ、アヤノ。テヤン、どこにいるか知ってるか?」


  「だから知らないって言ってるじゃん!!!」


「お・・・お前・・・どした?」


  「うるさい!!!」

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