ボニボニ

 

My hotelier 桃色番外 ドンヒョクの休日③

 





「強情だな・・。とうとう言わなかった」


ドンヒョクが 息を整えながら 残念そうに笑う。
つかれ果てたジニョンは 恋人の身体の下で もう寝息をたて始めている。

“ドンヒョクssi・・・。あ・・すごく・・いい・・。”

僕に抱かれて 思わず君がもらしたひと言。

もう一度言ってごらん。
そう言ったのに・・。 あんなに 責めたのに。
恥ずかしい? いったい何が恥ずかしい? 僕にしか聞かせないことだろう?


ジニョンに 腕枕をしてやりながら ドンヒョクがぼんやり考える。

―ジニョン・・君 だんだん女になっていく。

知らなかったな僕。 女は 始めから女なんだと 思っていた。
ジニョン。 小さな声で ささやくようにあえいでいた君。
僕に抱かれるたびに 甘い声で泣くたびに 君が感じやすくなってゆく。


ねえジニョン いいことを 教えてあげるよ。
君 僕が抱くと この頃 応える。
突かれる度に 良さそうに腰を揺らすんだ。

君は 自分で気づかない。 声に出して「いい」なんて言わなくても 
もう身体が そう言っている。
切なそうに揺する君の腰 すごく・・エロティックなんだよ。

可愛い僕のジニョン。 君は・・・僕が作っていく女なんだな。

うっとりと眠るジニョンの額に 髪が張り付いている。
さも愛しそうにドンヒョクは 恋人の 髪をすいてやる。



RRRRRR・・・・

ジニョンの携帯が鳴った。 小窓に発信者が表示される。
“ハン・テジュン”
ドンヒョクの 笑顔が すうっと引いた。

「ん・・・」
電話の音に反応して 眠りに落ちた君が 戻ってくる。
音の鳴る方を何度か探り 携帯をつかまえると 片手で開ける。

「は・・・い・・当直支配人・・ソ・ジニョンです」
―やれやれ ジニョン。 ベッドでも 当直支配人だ。

「え・・・。ええ、一緒ですが」
―僕の話?

「え? 及ばずって?え?  ・・・はい・・・分かっ・・た」


ぽとり。ジニョンが携帯を落とす。そのまま夢に落ちていきそうだ。

「ジニョン?誰から?」
分かっていることを聞いてみる。
自分の中にある この小さな嫉妬は 一体いつ 消えるのだろう?


「ん・・テジュンssi・・・」

ふ~ぅんと名残惜しそうに 枕へ頬をすりつけてから ジニョンがこちらを向いた。


「私 首になっちゃった。『明日は出社に及ばず。理事を抑えとけ』だって・・」
「ハン・テジュンが?」
「あなたに言っておけって言われた。
 M&Aハンターが支配人を連れて よそのホテルにしけこむなって・・・」

ああ、なんでバレちゃったんだろうと ジニョンが枕に埋まってゆく。



何にしても 僕はもう1日。恋人と一緒に過ごせるらしい。
すっかりご機嫌になったハンターが 遊びのプランを練り始める。


あふ・・ジニョンは眠りに落ちた。


そうだ どこかリゾートがいいな。 景色がきれいで 湖でもあって・・・
ボートを漕いだら 素敵だな。
泳げないジニョンは 船を揺らしたらきっと怖がる。 可愛いだろうな。
恋する男は うきうきと部屋のパソコンを立ち上げて リゾート情報を検索した。

「よし。ここだ」




そして 待ちきれない深夜1時。ドンヒョクがフロントに電話する。
「急なんだけど、チェックアウトします。それからね・・・、
 この部屋の毛布 売ってくれないかな?」

眠り込んだ恋人を 毛布のままで 抱き上げて シン・ドンヒョクが歩いてゆく。
「お連れ様は・・あの具合でも悪くなられたのですか?」
フロントマンが 眼を丸くする。

「ん? いや平気。 起きたくないって言うから このまま連れていくんだ」

----- 



―う~ん・・・まぶしい。 もう・・・朝?



やっと片目を開けたジニョンは 自分が移動中なのに気づく。

彼の車の後部座席。 毛布に包まれたまま転がされて 車はどこかへ走っている。

「ドンヒョクssi・・?」
「ああ、起きたね。寝ぼすけジニョン」
「なんで・・きゃあぁ!・・」

毛布の中は ・・・・昨日 眠りについたままだ。

「ちょ・・ちょ・・ちょっと これ・・ドンヒョクssi・・・」

「だってジニョン 頼むからこのまま寝かせてくれって言うからさ・・
 君を抱いてチェックアウトするの 僕 恥ずかしかったんだぜ」


今日は、湖のある山に行ってボートを漕ごうよ。天気はいいと予報が言ってた。
鼻歌まじりのドンヒョクは ルームミラー越しに ジニョンに微笑む。

・・・・絶対 この人悪魔だわ。 
寝起き髪のジニョンはあたふたと 自分の服を探している。

「ああ 服? 君のショルダーに詰めたよ」
ハンドルを 片手で握ったドンヒョクが 後ろへバッグを送ってくる。

「そこで着替えるの? よそ見運転しちゃいそうだな」
そういいながら もう車は 山の林道を駆けてゆく。

ザザザと派手に木をかき分け 車は 側道に入って止まった。
「オモ!」


ガチャ・・

ドンヒョクが後部座席にやってきた。
恋人に 優しいキスを一つ。
「おはよう。僕のいもむしさん」

そして 毛布を半分開けて するりと中に入り込む。
「ド・・ドンヒョクssi ・・やめて」
「夜通し走ったから疲れたな。まだ早いから仮眠しようか」



・・こんなの 仮眠じゃないでしょう?

木の葉が ゆらゆら揺れている。 違うわ 揺れているのは私の方ね。

夜明けの 山の風が少し寒い。
悔しいけれど あなたの身体の熱が とても気持ちいい。
「ジニョン・・愛してるよ」


ドンヒョクssi。

愛してくれるのは嬉しいけれど・・・出来れば場所は ベットにしてくれる?


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