ボニボニ

 

JUNI 7

 

このお話はRシーンを含みます。
苦手な方は スルーをお願いします。





そして危うい関係は ある晩 外から 揺すられる。



電話をすればいいものを  間抜けなママは アタシに使いを言いつける。
「茜~。ジュニちゃんにご飯ですよ って 呼んできて~」
それでも アタシはぶつぶつと 律儀にジュニを呼びに行く。


トントンと上る アパートの階段。
2階の廊下に ジュニの困惑した声がする。

何を話しているのだろう。やわらかく話す日本語と違って
韓国語で話すジュニは 何だかすごく男っぽくて。 ・・アタシ ドキンとする。


女性の ヒステリックな叫び声と ジュニの冷静な応対。

ドキドキドキ・・・
これって ええと。 ジュニが迫られているシーンで ございますか?


ものすごい勢いで女性がわめき 
バシッ!! 肉を打つにぶい音がした。


階段の あと3段を残して固まっているアタシの脇を きれいなヒトが走リ抜ける。
「・・・・。」

「・・茜さんも 間の悪い時に来ますね。」
ジュニが 部屋の入り口でつぶやく。 見えないのにアタシがいるのがなんで判ったの?
「茜さんの足音は 憶えています。」
「・・・・。」

アタシは なんだかうなだれて もじもじと ジュニの所へ歩いてゆく。
「きれいなヒトだったね。 ・・・追わなくていいの?」


すると ジュニは怒ったように アタシの腕をぐっとつかんで
まっすぐアタシに 問いかけた。
「彼女に応えたほうが 良かったですか!」
「・・・・・。」

さっきの美人に叩かれて 少し赤い ジュニの頬。
きっとこんなこと ジュニには ・・・いくらでもあるんだろうな。
頭が良くて優しくて とびっきりハンサムの・・ジュニ。


「・・・・・。」

「ちゃんと言ってください! 茜さんは 僕が 彼女に応えたら良かったですか?」
いつもよりきついジュニの声。 あの人を泣かせた痛みが ジュニを責めている。


アタシは口をとがらせて ずっと 眼を伏せている。
あのきれいなヒトとジュニが 並んでいる所を想像したら
チクリ と 胸が痛んだ。


アタシもう・・・ 素直になった方が いいのかもしれない。



「・・・・応え・・ないほうが いい。」
「何ですか? 聞こえません 茜さん。」
「応えちゃ ・・・いやだ。」

口惜しい。涙が出そうになる。 顔を見られないように ジュニに埋まる。
ジュニはほっと息をついて アタシを 胸の中に抱いた。
「茜さん? 僕を ちゃんと見てください・・。」
「・・・やだ。」


茜さんは意地っぱりです。 
ふんわり頬をすくい上げられて キスされる。
相変わらず ジュニのキスはすごくて。 アタシの脚が カクンとくだける。


「・・・・は。」

涙目のアタシを 撫で撫でして ジュニが笑う。
「さ もう1度です 茜さん。」
「気絶しちゃうよ。・・ジュニは キスが上手だね。」
「上手なんかじゃないです。 僕の大好きな気持を 全部込めているだけです。」

ああ・・そうか。なんだか 素直に納得してしまう。
身体ごと持っていかれそうなジュニのキスは ジュニの気持そのものなんだ。



「僕は 恋人に 格上げしてもらえましたか?」
「・・・ん。」
嬉しそうに もう1度軽くキスをして ジュニはアタシの胸にそっと手を寄せる。 
「この先も・・・して いいですか?」
「ご飯って 呼びに来たんだ・・。」
じゃあご飯です。 ママさんが待っているから 行きましょう。



「今日は ご飯の後 勉強しに来てくださいね。」

アタシの肩を抱きながら ご機嫌そうに ジュニが言った。


-----



ジュニの部屋に行く前に お風呂に入っちゃうと言ったら
湯冷めをしないかしらと ママが心配した。

「あったかくして行くから大丈夫。 今日はラッシュで汗かいたから・・。」


ちょっと言い訳がましかったけど ママは気にもしていないようで
今日のケーキはシフォンにするけど ジュニはアールグレイ嫌いかしらって言った。



ぶんぶく ちゃっぷん ちゃぷちゃぷーん ♪
ぶくぶく ちゃっぷん ちゃぷちゃぷーん・・・・


「はぁ・・・・。」
これからイロゴトしようって娘が こんな歌うたって
シャボンを吹いてちゃ 変よねえ・・
やっぱり止めたって 言おうかな。 きっとジュニは 待ってくれる。
そのくせ可愛い下着を選んだりして  アタシってば 言行一致しないヤツだよ。


ぽとぽとぽと・・

ママの心配のせいで 着ぶくれて 色気の無い格好で道を歩く。
30メートルの夜道を心配して ジュニが迎えに立っている。
「・・・遅かったですね。」

お風呂に入ってたと言えないアタシは 真由っぺと電話してたと ウソをつく。
だけどジュニが肩を抱いたら アタシの身体から 石けんの匂いがした。

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「茜さん 今日は玉ねぎみたいです。 何枚むいてもまだあります。」


着ぶくれたアタシは ベッドに座って もたもたとジュニに脱がされる。
「ムードないよね・・ またにする?」
「嫌です。 そんなお預けをされたら 寝られません。」
「やる気まんまんだね・・。」

「そんな日本語は知りません。 ああ・・やっと 茜さんが出てきました。」
そっとブラを外しながら ジュニが 先っぽを口に含む。
もう1個は手で撫でられて アタシの身体が ぴりぴりしびれてゆく。


ちゅぷっと唇を外して  ジュニが いたずらそうに聞いた。

「今日は 僕 ゴーカンって言われませんね?」
「・・・言わないよ・・。」
「僕を好きだと まだ 言ってもらっていません。」 


こんな時に言わせるのか・・。アタシ 顔が 茹でダコ状態だ。 
「茜さん?」
「・・・・好きだよ・・。」
「主語がありません。」
「アタシ・・は ジュニが好きだよ。」

痛いほど 抱きしめられる。 あぁ・・とジュニが幸せにうめいた。



ジュニのシーツ。 今日は深いグリーン色だ。
あたしの手が そこに ぽふんと投げ出されている。

じゃんけんパーみたいに広げた 手。 
アタシの手のひらに ジュニの大きな手が すうっと撫であがってきて 
指の間に指を差し入れて ぐっと握った。


アタシがパーで ジュニがグー。じゃんけんならアタシの勝ちなのにな・・。

「・・あ・・・。」



ジュニはあたしの上に 腕立てをして 見下ろしている。
「・・・痛くないですか?」
「ちょっとだけ。」
「でも今日は 痛くても最後までです。 いいですか?」
「そういうコト 聞かないでよ・・。」

ちゃんと聞いておかないと 茜さんは 油断が出来ません。
ジュニ ・・・アタシにゴーカン魔扱いされたコト。 相当 根にもってるね。



シュリ・・ シュリ・・・ シュリ・・


ジュニがゆっくり動くと シーツが小さく鳴る。
アタシの顔をじっと見ながら ジュニは時々 唇やあごにキスをする。  
それはそれは気をつけて ジュニは アタシを抱いているみたい。

揺すられるアタシの眉根が少しでも寄ると ジュニの動きが止まる。
頬を すっぽり手の中に包まれて 麻薬のようなキスが来る。
「・・・大丈夫ですか?」
「・・・ん。」


ホントは 何だか 大丈夫じゃない。 何だろう? ちょっと・・変な感じ。
我慢したいようなしたくないような もどかしさが押し寄せる。
「・・・・あ・・。」
アタシが 辛そうな顔になって ジュニがすっと動きを止める。
それが何回か繰り返されると 何だか 腹が立ってきた。


「茜さん。 僕 もうだめみたいです。最後だけ・・我慢してください。」
そしてジュニは アタシを見ないように動き出す。
見ると可哀そうで動けませんからと ちょっと 横を向いている。
「・・あ・・あ・・あ・・。」
「ごめんなさい 茜さん。」


愛してますと言いながら。 ジュニの動きは それまでと違って 荒々しい。
「・・・ああ!・・。」
「・・・ん!・・。」
ジュニが アタシに登りつめる。 身体ごとアタシにぶつかってきて
持ち上げられるアタシの背中も 大きく 反った。


ああっ とアタシの声が高くなって。  ジュニは・・ ちょっと 驚いたみたい。
ぎゅうっと 息が詰まるほど 抱きしめられた。


「茜・・さん?」

はあはあと 息をしながら聞くジュニの声に 嬉しさが混じっていて。
アタシは かあっと赤くなる。
「茜さん?」
「・・・・う・・ん・・・。」


それ以上は 聞かないで。 

ジュニの胸にもぞもぞ隠れると ふふっと ジュニが小さく笑った。
「良かった。 茜さん ・・・痛いだけじゃ なくなりましたね?」


だから 言うなー! ジュニなんか 嫌いだ。

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